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帯状疱疹

執筆:斎藤史武 監修:高杉亜里紗 公開日:2026-08-23

「体の片側だけ、ピリピリと変な痛みが続く」「数日したら赤い発疹と水ぶくれが帯のように出てきた」──それは帯状疱疹(たいじょうほうしん)の典型的な経過です。80歳までに3人に1人が経験するといわれるほど身近な病気で、しかも「治療開始の早さ」がその後の痛みを大きく左右します。

このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、帯状疱疹の症状と早期治療の大切さ、予防のためのワクチンについてご説明します。ご相談はWeb予約からどうぞ。

Q. 帯状疱疹とはどんな病気ですか?

子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、体の神経に潜んだまま生き残り、年月を経て再び暴れ出す病気です。

水ぼうそうが治った後も、ウイルスは神経の根もとにひそみ続けます。加齢や疲労、ストレス、病気などで免疫の力が落ちたときにウイルスが再活性化し、神経を伝って皮膚に出てきて、痛みを伴う発疹を起こします。

ほとんどの成人は子どもの頃に水痘ウイルスに感染しているため、誰にでも起こりうる病気です。特に50歳を過ぎると発症が増えてきます。

Q. どんな症状が出ますか?

体の左右どちらか片側に、痛みを伴う赤みと水ぶくれが帯状に出るのが典型です。皮疹より先に痛みだけが数日続くことも多く、初期には気づかれにくい病気です。

よくある経過は次のとおりです。

  1. 前駆痛:皮疹が出る2〜3日前から、片側の限られた範囲にピリピリ・ズキズキした痛みや違和感が出ます
  2. 皮疹の出現:赤みの上に水ぶくれが集まって現れ、数日かけて帯状に広がります
  3. 回復:水ぶくれはかさぶたになり、約1ヶ月でおおむね元の皮膚に戻ります

胸から腰にかけてが多いですが、顔に出ることもあり、目の近くの帯状疱疹は視力への影響、耳の近くでは顔面神経麻痺などの合併症に注意が必要です。発熱や頭痛、リンパ節の腫れを伴うこともあります。

「片側だけの痛い発疹」が帯状疱疹を疑う最大のサインです。虫刺されやかぶれと思って様子を見てしまい、受診が遅れるケースがよくあります。また、発疹の出る前の「痛みだけの時期」はさらに気づきにくく、外来でも「肩こりや寝違えだと思って湿布を貼っていた」「腰の痛みだと思っていた」とお話しされる方が本当に多くいらっしゃいます。数日して発疹が出てきて、そこで初めて帯状疱疹だったと分かる、というのが典型的な経過です。

Q. なぜ早く受診したほうがよいのですか?

抗ウイルス薬は、皮疹が出てから72時間以内に始めることが目安とされているためです。早期の治療が、あとに残る神経痛のリスクを減らすと考えられています。

帯状疱疹の治療の中心は抗ウイルス薬で、ウイルスの増殖を抑えることで症状の悪化を防ぎます。ウイルスは発症初期にもっとも盛んに増えるため、治療開始は早いほど効果的です。痛みに対しては鎮痛薬も併用します。

「週末が明けてから」「連休が終わってから」と受診を延ばすと、この72時間を逃してしまいがちです。片側の痛い発疹に気づいたら、その日のうちの受診をお勧めします。

一方、帯状疱疹がよく知られるようになったこともあり、最近は「体の片側が痛むので帯状疱疹ではないか」と、発疹の出ていない段階で心配して受診される方も増えています。発疹のない段階では、診察しても帯状疱疹と診断をつけることはできません。治療開始の目安となる72時間は「発疹が出てから」数えるため、発疹の前に受診できなくても手遅れにはなりません。「片側の痛みのあとに発疹が出てきたら、その日のうちに受診」と覚えておいてください。もちろん、痛みそのものがつらいときは、発疹がなくても受診していただいて構いません。

Q. 帯状疱疹後神経痛とは何ですか?

皮疹が治った後も痛みだけが長く残ってしまう合併症で、帯状疱疹のもっともやっかいな後遺症です。

報告では、50歳以上で帯状疱疹を発症した方の約2割が帯状疱疹後神経痛に移行するとされ、中には年単位で痛みが続く方もいます。高齢の方や、皮疹・痛みが強かった方ほど残りやすい傾向があります。

焼けるような痛み、電気が走るような痛み、服が触れるだけで痛むなど、生活の質を大きく下げる痛みです。だからこそ、発症してしまったら早期治療で神経のダメージを抑えること、そしてそもそも発症を防ぐワクチンが重要になります。

Q. 帯状疱疹は人にうつりますか?

「帯状疱疹」としてはうつりませんが、水ぼうそうにかかったことのない人(特に乳幼児)には、水ぼうそうとしてうつる可能性があります

水ぶくれの中にはウイルスが含まれています。皮疹がかさぶたになるまでは、水ぼうそうにかかったことのない子どもや妊娠中の方、免疫の低下した方との接触に配慮し、水ぶくれをガーゼなどで覆っておくと安心です。

Q. 予防はできますか?

50歳以上の方は、ワクチンで帯状疱疹の発症と重症化を予防できます。2025年度からは定期接種が始まり、対象の方は公費で接種できます。

定期接種の対象は、その年度末に65歳になる方です。2029年度までは経過措置として、その年度末に70・75・80・85・90・95・100歳になる方も対象です。また、60〜64歳で免疫の機能に重い障害がある方(身体障害者手帳1級相当)も対象になります。渋谷区では対象の方に予診票が送付され、無料で接種できます。対象の年度を過ぎた場合も、渋谷区にお住まいの50歳以上の方には任意接種の費用助成があります。

帯状疱疹ワクチンには効果や接種回数の異なる2種類があり、当院ではどちらも接種いただけます。種類ごとの違いは帯状疱疹ワクチンのページ、費用はワクチン・予防接種 料金表、公費の対象や申請方法は高齢者の予防接種でご案内しています。

当院での診療

当院では、帯状疱疹の診断と抗ウイルス薬による治療、痛みの管理を行っています。皮膚科(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)と内科が連携して診療しています。症状が出ている方のご予約はWeb予約からどうぞ。

予防のためのワクチン接種も行っています。ワクチンは在庫を確保する必要があるため、事前にお電話(03-3499-6223・診療時間内)でご予約ください。

まとめ

帯状疱疹は、体に潜んでいた水ぼうそうのウイルスが再活性化して起こる、3人に1人が経験する病気です。「片側だけの痛い発疹」に気づいたら72時間以内の治療開始が目標です。そして50歳を過ぎたら、ワクチンによる予防をご検討ください。

参考文献

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