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日中の強い眠気は病気のサイン?考えられる原因

執筆:斎藤史武 公開日:2026-09-09

「会議中にどうしても目を開けていられない」「電車では必ず寝てしまう」「休日に昼まで眠っても、週明けにはもう眠い」──日中の眠気を、気合いや生活習慣の問題として片づけている方は少なくありません。眠気を感じること自体は珍しくありません。20歳以上の成人約5,700人を対象とした調査では、34.8%の方が「この1か月間に週3回以上、日中に眠気を感じた」と答えています。一方で、その眠気の陰に、調べれば分かる病気が隠れていることもあります。

このページでは、なみきばしクリニックの内科担当医(総合内科専門医・呼吸器専門医・アレルギー専門医)が、日中の眠気はどこからが受診の対象になるのか、原因として何を考えるのか、そして何科に相談すればよいのかをご説明します。眠気が続いていて、自分のせいなのか病気なのか判断がつかない方の手がかりになればと願っています。診察のご希望はWeb予約からどうぞ。

日中の眠気は、どこからが「病気のサイン」ですか?

眠気があるかどうかではなく、居眠りによって仕事・学業・運転に支障が出ているかどうかが目安になります。

先ほどの調査では、20代で43.6%、70歳以上でも31.1%の方が日中の眠気を感じており、年代を問わず広くみられます。ですから「眠い=異常」ではありません。ただし、会議や授業の最中に眠り込んでしまう、信号待ちや運転中に眠気に襲われる、といった段階になると話が変わります。居眠りで学業や仕事に支障が出ている場合は、睡眠の検査・治療を行う医療機関で調べることが勧められています。

眠気の強さは、感覚に頼らず数値で表すこともできます。エプワース眠気尺度(ESS:日常の8つの場面で、どのくらい眠ってしまいそうかを点数で答える質問票)が広く使われており、合計11点以上が日中の過度の眠気の目安とされています。北海道の一自治体で行われた調査を日本の人口構成に合わせて推計すると、ESS 11点以上の方は9.3%(男性9.6%、女性9.2%)でした。ESSは診断ではなく、眠気を客観化するための目安です。点数にかかわらず、運転や仕事・学業に支障がある場合は受診をご検討ください。

十分に寝ているつもりなのに眠いのは、なぜですか?

眠気の原因は、大きく7つの方向に分けて考えると整理しやすくなります。

最初に確かめたいのは、いちばん上の「量」です。平日の睡眠時間が3〜5時間と短く、週末に9〜10時間の寝だめをしている、という形は睡眠不足症候群の典型的な姿で、眠気の相談で最初に確かめる点です。この場合、まず必要なのは検査ではなく睡眠時間の確保です。

同時に、時間を確保しても回復しない眠気があることも知っておいてください。睡眠休養感(眠って休養がとれたという感覚)は、睡眠の質をみる重要な手がかりです。ただし、6時間以上眠っていても、その方に必要な睡眠時間が足りていないことがあります。十分な時間を確保しても休養感や眠気が改善しない場合は、睡眠時無呼吸などの睡眠障害に加え、体内時計のずれ、気分の問題、お薬、身体の病気などを検討します。

眠気の原因になる病気には、どんなものがありますか?

眠気を主な症状とする病気には、次のようなものがあります。それぞれ気づき方の手がかりが違います。

閉塞性睡眠時無呼吸(へいそくせいすいみんじむこきゅう) 睡眠中に空気の通り道がふさがって呼吸が止まり、身体が酸欠状態になるため、眠りが浅くなったり途中で目が覚めたりします。その結果、時間のうえでは眠っていても深い睡眠がとれません。手がかりは、大きないびき、呼吸が止まっていたという同居の方の目撃、起床時の頭痛、夜中に何度もトイレに起きること、そしてお薬を飲んでも下がりにくい血圧です。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群) 夕方から深夜にかけて、脚を中心に「ムズムズする」「痛がゆい」「じっとしていると不快でたまらない」といった感覚が出ます。足を動かすと感覚は消えますが、じっとしていると再び現れるため、寝つきが妨げられます。鉄欠乏性貧血のある方や人工透析を受けている方に多く、中年以降では女性に多くみられます。通常の睡眠薬だけでは原因の治療にならないため、原因に応じた対応が必要です。

過眠症(ナルコレプシーなど) 夜に十分な睡眠をとっていても昼間に強い眠気に襲われ、居眠りしてしまいます。ナルコレプシーのうち、笑ったり驚いたりしたときに身体の力が抜ける情動脱力発作を伴うタイプ1では、覚醒を保つはたらきをもつオレキシンという神経伝達物質を作る神経細胞が失われることが主な原因です。情動脱力発作を伴わないタイプ2では、原因が十分に分かっていません。耐えがたい眠気に加えて、寝入りばなに現実感のある幻を見る、笑ったり驚いたりしたときに身体の力が抜ける、といった症状があれば、この病気を念頭に置きます。

概日リズム睡眠・覚醒障害(がいじつりずむすいみんかくせいしょうがい) 体内時計の障害で、眠る時間帯そのものがずれます。午前3〜5時以降でないと寝つけず、午前9〜11時以降にならないと起きられない形(睡眠・覚醒相後退障害)は若い方に多く、朝の眠気や欠勤・欠席として現れます。反対に極端な早寝早起きに偏る形もあり、交替勤務や時差でも同じことが起こります。

うつ病などの精神疾患・お薬の影響 気分の落ち込みや興味の低下と一緒に眠気が続く場合は、こころの状態が背景にあることを考えます。お薬では、古くからある第一世代の抗ヒスタミン薬(アレルギーの症状を抑えるお薬)に、脳へ移行しやすく眠気が出やすい性質があります。眠気の少ない第二世代でも、感じ方には個人差があります。睡眠薬の効果が翌朝まで残る形の眠気もあります。

眠気から睡眠時無呼吸を疑うのは、どんなときですか?

いびきや呼吸停止の指摘があり、朝の頭痛や夜間の頻尿を伴う場合です。眠気を訴えて来院された方のなかで、検査で診断がつき、治療の手立てがはっきりしている代表格が睡眠時無呼吸です。

睡眠中に10秒以上呼吸が止まることを無呼吸といい、これが繰り返し起こる状態を指します。精密検査(PSG)では、睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸(呼吸が浅くなること)を合わせた回数であるAHI(無呼吸低呼吸指数)を用い、AHIが5以上で日中の眠気などの症状を伴う場合に睡眠時無呼吸症候群と診断します。AHIが15以上の場合は、症状が明瞭でなくても診断されることがあります。自宅の簡易検査で示される指数は、厳密にはAHIではなくREI(呼吸イベント指数)などと呼ばれる場合があります。重症度は5以上15未満が軽症、15以上30未満が中等症、30以上が重症です。病気の全体像は睡眠時無呼吸症候群のページにまとめています。

注意したいのは、いびきの大きさや音の有無では判断できない点です。呼吸が完全に止まっている間、いびきの音はむしろ消えます。見分け方の詳しい手がかりはいびきと睡眠時無呼吸症候群の違いでご説明しています。眠気の自覚がないまま検査で中等症以上と分かる方もいらっしゃるため、眠気の強さだけで重症度を推し量ることもできません。

受診の前に、自分で確かめておくとよいことはありますか?

次の4つをお持ちいただけると、原因の絞り込みが早く進みます。

睡眠日誌は、記憶に頼るより正確です。ご自身では足りているつもりでも、記録してみると実際に眠っていた時間はもっと短かった、ということも起こります。ご記入が難しければ、覚えている範囲の就寝・起床時刻だけでもお持ちください。

眠気が続くとき、何科を受診すればよいですか

症状の組み合わせによって、相談先が変わります。

迷われる場合は、まず内科でご相談ください。当院では、問診と睡眠の記録から原因を絞り込み、睡眠時無呼吸が疑われる方には検査をご案内します。当院で採用している検査では、簡易検査も精密検査(PSG:睡眠ポリグラフ検査)も入院せずご自宅で受けていただけます。検査の進め方は睡眠時無呼吸の自宅検査で詳しくご案内しています。診断がついた後は、CPAP(シーパップ:睡眠中に鼻マスクから空気を送り、気道がふさがるのを防ぐ装置)の導入から継続まで当院で対応します。2026年6月以降、CPAPを保険で導入する数値上の基準は検査の種類によって異なり、精密検査ではAHI 15以上、簡易検査から直接導入する場合は30以上が目安です。ただし、日中の強い眠気などの症状や生活への支障、精密検査の所見も含めて適用を判断します。血液検査で貧血や腎機能を確かめることもでき、睡眠の専門的な治療が必要と判断した場合や、入院での検査が望ましい場合は、実施している医療機関へご紹介します。呼吸器の診療全体については呼吸器内科のご案内をご覧ください。

診察室でよくあるご相談

以下は、複数の診療経験をもとに再構成した典型的な例です。

50代の男性が、会議中や電車で眠り込んでしまうとご相談に来られました。問診では、平日の睡眠が5時間前後で休日は10時間近く眠っていること、配偶者からいびきを指摘されていること、健診で血圧が高めと言われていることが分かりました。まず2週間の睡眠日誌をつけていただいたところ、平日の睡眠不足がはっきりした一方で、いびきと朝の頭の重さも続いていました。睡眠時間を確保しても眠気が残ったため、ご自宅での簡易検査を行い、中等症の閉塞性睡眠時無呼吸と診断しました。CPAPの導入と並行して就寝時刻を一定にすることも続けていただき、血圧の経過も併せて診ています。眠気の原因はひとつとは限らず、睡眠不足と睡眠時無呼吸が重なっている方は珍しくありません。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 睡眠時間は足りているのに眠いです。それでも病気を疑うべきですか? はい、その場合こそ調べる価値があります。時間が足りているのに休養感がない眠気は、眠っている間に睡眠が分断されているサインです。睡眠時無呼吸やむずむず脚症候群のように、ご本人が気づきにくい形で眠りを妨げる病気があります。

Q. 眠気の相談で、まず何科に行けばよいですか? いびきや呼吸の停止を指摘されている方は呼吸器内科が向いています。原因の見当がつかない場合は、内科で睡眠の状況とお薬を確認し、必要に応じて専門の医療機関へおつなぎする流れがスムーズです。

Q. 市販のアレルギーの薬を飲むと日中も眠くなります。関係がありますか? 関係することがあります。第一世代の抗ヒスタミン薬は脳に移行しやすく、眠気が出やすい性質があります。眠気の少ない第二世代のお薬でも感じ方には個人差があるため、服用中のお薬をお持ちいただければ、眠気の原因になっていないかを一緒に確認します。

Q. 眠気が強いとき、車の運転はどうすればよいですか? 眠気を感じたまま運転を続けることは避けてください。仮眠や休憩をとり、眠気が繰り返し起こるようであれば、運転を控えたうえで早めにご相談ください。原因が分かれば、対処のしようがあります。

Q. CPAPを始めれば、眠気はすぐに良くなりますか? 日中の眠気が軽くなったと感じる方が多い治療ですが、効き方や感じるまでの期間には個人差があります。装置の設定や使用時間の調整で改善することもあります。治療をいつまで続けるのかはCPAP治療はいつまで続ける?でご説明しています。

参考文献

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断・治療方針は個々の状態により異なります。最終的な判断は診察のうえで行いますので、気になる症状のある方は医療機関にご相談ください。

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