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大人の食物アレルギーとは?何科・原因・タイプ・検査の受け方

執筆・監修:斎藤史武 公開日:2025-06-05 最終更新日:2026-10-13

 「何年も普通に食べてきたものでじんましんが出た」「大人になってから食物アレルギーになることはあるの?」。大人になってから食物アレルギーが始まることは珍しくなく、原因になりやすい食べ物も、症状の出方も子どもとは違います。相談先は、アレルギー科か、アレルギーを診療している内科です。

 このページでは、なみきばしクリニックの内科担当医(日本内科学会 総合内科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が、大人の食物アレルギーの全体像として、原因になりやすい食べ物とタイプ、アレルギーではない不調との違い、受診先と検査の受け方をご説明し、食べ物ごとの詳しい解説へご案内します。診察のご希望はWeb予約からどうぞ。

大人の食物アレルギーは、子どもとどう違いますか?

 食物アレルギーは、特定の食べ物を食べたあとに、免疫の反応によってじんましん、唇やまぶたの腫れ、咳や息苦しさ、腹痛などが起こる病気です。子どもと大人では、次の点が違います。

大人になってから多い原因の食べ物は何ですか?

 食べて60分以内に症状が出て医療機関を受診した方を対象にした全国調査(2020年)で、18歳以上で新しく発症した183人の原因食物のうち、5%以上を占めたのは次の6つでした。

原因食物割合詳しい解説
小麦19.7%大人の小麦アレルギー
甲殻類(エビ・カニ)15.8%大人になってからのエビ・カニアレルギー
果物12.6%花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)
魚9.8%魚を食べてじんましん
大豆6.6%花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)(豆乳)
木の実5.5%—

 2023年の調査でも、18歳以上で初めて症状が出た方の原因で最も多かったのは小麦(18.9%)、次がエビ(16.5%)でした。いずれも「食物アレルギーで受診した人の中での割合」で、大人全体のうち何人がそのアレルギーになるかを示すものではありません。また、数時間後に症状が出るタイプなどは十分に反映されていません。

 卵と牛乳は、大人で新しく起こる原因としては少数です。ただし、まれでも起こり、子どもの頃からのアレルギーが大人まで続いている方もいます(大人の卵アレルギー・大人の牛乳アレルギーと乳糖不耐症)。

大人の食物アレルギーには、どんなタイプがありますか?

 大人の食物アレルギーには、次のような症状の出方や、発症のきっかけがあります。これらは互いに重なる場合があり(石鹸がきっかけの小麦アレルギーが、食後の運動で起こるタイプとして現れることなど)、タイプによって検査の読み方も、避ける範囲も変わります。

食べてすぐに症状が出るタイプ(即時型)

 食べてから多くは2時間以内に、じんましん、唇やまぶたの腫れ、咳や息苦しさ、腹痛などが出ます。大人ではエビ・カニ、小麦、魚などで起こります。重いと、全身に強い反応が出るアナフィラキシーになります。魚を食べたあとの症状では、魚そのものではなく、魚に寄生するアニサキスへのアレルギーのこともあります。

食後に運動などが重なったときに症状が出るタイプ

 通常は、原因の食べ物を食べただけ、運動しただけでは何も起きませんが、食後に運動をしたり、痛み止めや飲酒が重なったりすると、じんましんや息苦しさが出ます。体調や食べた量によっては、運動をしなくても症状が出ることがあります。食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼ばれ、国内の過去の報告では、原因は小麦が約6割、エビ・カニが約3割でした。同じ物を食べても症状が出たり出なかったりするため、気づかれにくいタイプです(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)。

数時間後に症状が出るタイプ

 納豆や一部の肉類では、食べてから数時間以上たってからじんましんなどが出ることがあります。また、じんましんを伴わずに、数時間後に嘔吐・腹痛・下痢が出る、消化管のアレルギーもあります。遅れて出た症状だけで、アレルギーではないとは判断できません。

果物や野菜で口の中がかゆくなるタイプ

 花粉症のある方が、リンゴやモモなどの果物、野菜、豆乳を食べたときに、口の中や喉がかゆくなるタイプです。花粉と似たタンパク質に体が反応して起こり、リンゴ・モモ・豆乳などでは、ハンノキやシラカンバの花粉との交差反応が関係します。多くは口や喉の症状が中心ですが、豆乳や一部の果物では、じんましんや息苦しさなど全身の症状が出ることもあります(花粉-食物アレルギー症候群(PFAS))。

皮膚や吸い込みが、発症のきっかけになる場合

 小麦の成分を含む石鹸や化粧品、仕事で吸い込む小麦粉や卵の粉、鳥の羽毛などがきっかけになり、あとから食べて症状が出るようになる場合があります。日本では、加水分解小麦を含む以前の製品の洗顔石鹸による小麦アレルギーが多発し、2,111人が確認されました。詳しくは、食べ物ごとのページで解説しています。

アレルギーではないのに、食べ物で不調が出ることはありますか?

 あります。食べたあとの不調がすべてアレルギーとは限らず、見分けると避ける範囲が大きく変わります。

大人の食物アレルギーは何科を受診すればよいですか?

 アレルギー科、またはアレルギーを診療している内科が窓口になります。子どもの食物アレルギーは小児科で診ることが多いのに対し、大人の食物アレルギーは、食べた物だけでなく、運動や薬の重なり、花粉症、仕事、石鹸や化粧品など生活全体から原因を探す必要があり、大人の食物アレルギーを診療している医療機関での相談をお勧めします。

 アレルギー科を掲げていても、日本アレルギー学会 アレルギー専門医が診療しているとは限りません。受診先を選ぶときは、医師の資格や、大人の食物アレルギーを診ているかを確かめると安心です。じんましんなど皮膚の症状が中心の場合は、皮膚科でも相談できます。

どんなときに受診し、どんなときに救急車を呼ぶべきですか?

 食べたあとに次のような症状が出た方は、アレルギー科の受診をお勧めします。

 このうち、喉や胸の締めつけ、声のかすれ、息苦しさ、続く強い咳込み、繰り返す嘔吐、我慢できない強い腹痛、強いふらつきや意識が遠のく感じが今まさにある場合や、複数の症状が急速に広がっている場合は、119番で救急車を呼んでください。アドレナリン自己注射薬を処方されている方は、説明を受けた手順に従って使ってください。使ったあとは、症状が軽くなっても歩いて受診せず、救急車で医療機関へ向かってください。救急車を待つ間は横になり、急に立ち上がったり歩いたりしないでください(息苦しいときは上体を起こした楽な姿勢にします)。重い症状があった場合は、自己注射薬を使っていなくても、いったん良くなっただけで受診をやめないでください。重い症状を抗ヒスタミン薬だけで様子を見ることは避けてください。

 受診の際は、食べた料理や原材料表示の写真、症状が出ているときの皮膚の写真、食べた時刻と症状が出た時刻、前後の運動・飲酒・薬のメモがあると、原因を絞る手がかりになります。

どのように診断するのですか?検査は何をしますか?

 診断の中心は問診です。何を、どのくらい食べて、何時間後に、どんな症状が出たか。運動・痛み止め・飲酒・疲れが重なっていなかったか。花粉症、仕事、石鹸や化粧品、ペットの有無。これらから原因の候補とタイプを絞ります。

 そのうえで、疑わしい食べ物に絞って、特異的 IgE 抗体(とくいてき IgE こうたい:特定の物質に反応する準備ができているかを示す抗体)を血液で調べます。結果を読むうえで大切なのは、次の2点です。

 ただし、数時間後に嘔吐・腹痛・下痢が出る一部の消化管のアレルギーは、特異的 IgE 抗体の検査では診断できず、症状の経過などから判断します。

 数十項目をまとめて調べる検査は、診断には勧められていません。症状のない食べ物まで陽性に出て、かえって判断が難しくなるためです。理由はやみくもなアレルギー検査はしないほうが良いで解説しています。食べ物のIgG抗体を調べる『遅延型フードアレルギー検査』も、食物アレルギーの診断には使えません(『遅延型フードアレルギー検査』(IgG検査)で食物アレルギーは分かる?)。

 血液検査で判断がつかないときは、食べ物そのものを使う皮膚テスト(プリック・トゥ・プリック)を行うことがあります。診断がつくまでは、原因の候補になっている食べ物を自己判断で食べ直さないでください。実際に食べて確かめる食物経口負荷試験や、運動を組み合わせた誘発試験は、強い症状が出るおそれがあるため、行える専門の医療機関で行います。

なみきばしクリニックでの診療

 当院のアレルギー科では、日本アレルギー学会 アレルギー専門医の資格を持つ内科担当医が、大人の食物アレルギーを診療しています。症状が出たときの食事と行動、花粉症やお仕事、石鹸や化粧品の使用まで伺い、原因とタイプを一緒に整理します。

 当院で行えること:

 結果は陽性・陰性の二択で終わらせず、「何を、どこまで避けるか」「運動の前に何時間空けるか」「加工食品や外食で何に気をつけるか」まで、日々の生活に落とし込んでご説明します。食物経口負荷試験、運動を組み合わせた誘発試験、小麦の皮膚テスト、胃カメラ・大腸カメラが必要な方は、行える医療機関へご紹介します。

 渋谷駅・恵比寿駅・代官山駅からお越しいただけます。アレルギー科のご案内もあわせてご覧ください。診察のご予約はWeb予約からどうぞ。

よくあるご質問

Q1. 今まで普通に食べていた物で、急にアレルギーになることはありますか? あります。大人の食物アレルギーは、何年も問題なく食べてきた物で、ある日突然始まることがよくあります。小麦やエビ・カニ、果物などでは、花粉症や皮膚、仕事などを通して先に体が反応を覚え、あとから食べ物で症状が出るようになる場合があります。「今まで大丈夫だったから」と自己判断せず、症状が出たら受診してください。

Q2. 大人の食物アレルギーは治りますか? タイプによって違います。食後の運動で起こるタイプや、エビ・カニのアレルギーは、自然には治りにくいとされています。一方、加水分解小麦を含む洗顔石鹸が原因になった小麦アレルギーでは、原因の製品をやめたあと、時間をかけて改善した例が報告されています。治りにくいタイプでも、原因と避け方が分かれば、症状を防ぎながら生活できます。

Q3. 数十項目をまとめて調べるアレルギー検査を受けたいのですが。 当院では、問診で疑わしい食べ物を絞ってから検査を行い、数十項目をまとめて調べる検査は勧めていません。症状のない食べ物まで陽性に出て、本来は避けなくてよい食べ物まで減らすことにつながるためです。気になる症状がある方は、症状が出たときの状況をお持ちのうえご相談ください。

Q4. 一度だけ症状が出て、その後は平気です。受診したほうがよいですか? 受診をお勧めします。大人の食物アレルギーには、食後の運動や痛み止め、飲酒などが重なったときに症状が出るタイプがあり、同じ物を食べても症状が出たり出なかったりします。次は重い症状が出ることもあるため、原因を確かめ、症状が出たときの備えを決めておくと安心です。

参考文献

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