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まつ毛・眉毛が抜けるのはなぜ? 円形脱毛症とほかの原因

執筆:斎藤史武 監修:高杉亜里紗 公開日:2026-09-09

「片方のまつ毛だけが減ってきた」「眉毛の一部に地肌が見える場所ができた」──目のまわりの毛は隠しにくく、鏡を見るたびに気になります。まず円形脱毛症が思い浮かびますが、まつ毛・眉毛が抜ける原因は、毛を抜く癖、引っ張る負担、目のふちの炎症、体の病気や薬まで、頭の毛より幅があります。

このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、まつ毛・眉毛が抜けたときに何を考え、どこへ相談すればよいかをご説明します。円形脱毛症そのもの(ストレスとの関係、自然に治るか、治療の全体像)は円形脱毛症のページにまとめてありますので、ここでは部位に絞ります。ご相談はWeb予約からどうぞ。

Q. まつ毛や眉毛が抜けるのは、何が原因ですか?

円形脱毛症のほか、自分で抜いてしまう癖、引っ張る・こするといった機械的な負担、目のふちの炎症、体の病気や薬の影響まで、原因はいくつもあります。まず抜け方を手がかりに絞り込みます。

診察でうかがうのは次の点です。

毛が抜ける病気には、引っ張られて抜けるもの、癖で抜いてしまうもの、感染症や膠原病(こうげんびょう:免疫が自分の体の組織を攻撃する病気の総称)に伴うものがあり、中には治療が遅れると回復が難しくなるタイプもあります。たとえば、眉毛の外側から徐々に薄くなり、前髪の生え際も後退している場合には、前頭部線維化性脱毛症などの瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう:毛穴が壊れて元に戻らない脱毛)も考えます。脱毛部がつるつるして毛穴が見えない、赤み・かさつき・痛みがある場合は、早めに皮膚科を受診してください。円形脱毛症と決めてしまう前に確かめる意味は、そこにあります。

Q. 円形脱毛症でも、まつ毛や眉毛は抜けますか?

抜けます。円形脱毛症は頭の毛に起こることが多い病気ですが、眉毛・まつ毛・ひげ・体毛など、毛のあるところならどこにでも生じます。

まつ毛や眉毛の症状が先に目立つことも、頭の脱毛斑に続いて広がることもあります。診察では髪をかき分けて頭皮に脱毛斑がないか、ひげや体毛はどうかも確かめます。

見落とされやすいのは、面積が小さいから軽い、とは限らない点です。円形脱毛症の重症度を評価する国際的な尺度では、脱毛の面積が同じでも、眉毛・まつ毛にはっきりした脱毛がある場合は重症度を一段階上げて扱うことになっています。心理的な負担が大きい、6か月治療しても効果が乏しい、急速に進行している場合も同じです。ただし、重症度を一段階上げることは、必ず治療が必要という意味ではありません。進行の速さ、心理的な負担、患者さんの希望を踏まえて、治療するか経過を見るかを決めます。

一方で、脱毛斑が1つか数個で1年以内の経過なら、治療をせず様子を見るだけでもよいとされ、頭部を含む一般的な単発型の円形脱毛症では約4割が半年以内に治るという報告があります。ただし、眉毛・まつ毛だけに限った回復率ではなく、経過には個人差があります。方針は、範囲・進み方・生活への影響を見て決めます。

Q. まつ毛エクステやビューラーが原因になることはありますか?

毛は、引っ張られたりこすられたりする状態が習慣的に続くと抜けやすくなります。まつ毛エクステやビューラーによる繰り返しの牽引・摩擦が、まつ毛の切断や脱落に関係する可能性があります。頭の毛では、強く結ぶ髪型、ヘアエクステンション、ヘアアイロンによる牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)が知られています。

まつ毛エクステやメイクをやめるべきだ、という話ではありません。引っ張る負担による脱毛は、早い段階で負担を減らせば回復が期待できます。赤みやかゆみを伴う場合は、接着剤による接触皮膚炎や眼瞼炎も考えます。反対に長く続くと毛を作る組織(毛包)が傷み、その部分から毛が生えてこなくなることがあります。気づいた時点で負担を軽くできるかどうかが分かれ目です。

負担が重なりやすいのは次の場面です。

まつ毛エクステの施術には美容師の資格が必要です。目やそのまわりに赤み・かゆみ・痛みが出たときは、施術を受けたことを伝えて受診してください。

Q. 自分で抜いてしまう癖も、脱毛症になりますか?

なります。無意識に毛を触る癖が進んで抜いてしまう状態は抜毛癖(ばつもうへき。トリコチロマニアとも呼びます)といい、頭の毛に限らず、眉毛やまつ毛を抜いてしまう方もいます。

抜毛癖は子どもから大人まで幅広い年齢に起こります。見た目が円形脱毛症とよく似ていて区別が難しく、両方が重なることもあります。特にお子さんでは、本人が抜いていることを自覚していない場合もあり、見た目だけでの判断はいっそう難しくなります。

抜毛癖は機械的な刺激による脱毛で、抜く行為が止まり、毛包が傷んでいなければ再び生えることが期待できます。ステロイドの塗り薬や育毛剤を塗る必要はありません。円形脱毛症との違いがはっきり出るところで、塗り薬を続ける前にどちらなのかを確かめる価値があります。

お子さんが毛を抜いているのに気づいたときは、叱らずに見守ってあげてください。抜くのを自力で止めることが難しい場合や長期間続いている場合には、習慣逆転法などの行動療法が役立ちます。まず皮膚科で診断し、必要に応じて小児科・心療内科・精神科と連携します。

Q. 体の病気や薬のせいで抜けることはありますか?

あります。たとえば甲状腺(こうじょうせん:のどにあるホルモンを作る臓器)の働きが落ちる甲状腺機能低下症では、頭の毛と眉毛の脱毛が所見として挙げられています。

全身の原因には次のものがあります。

加齢でも毛は変わり、中年期以降に髪が細く短くなることが知られています。数年かけて薄くなった変化と、数週間で一部だけ抜けた変化は分けて考えます。円形脱毛症には甲状腺の病気が背景にあることもあり、症状に応じて血液検査を行います。

Q. 目のかゆみや赤みもあるときは、皮膚科と眼科のどちらですか?

まつ毛の根元やまぶたのふちの赤み、目やに、目の痛みやゴロゴロする感じなど、目の症状が主役のときは眼科です。毛の抜け方が主役なら皮膚科が入り口になります。

まぶたのふちには、まつ毛の根元に起こる炎症(前部眼瞼炎:ぜんぶがんけんえん)と、その奥の脂を出す腺のまわりの炎症があり、どちらも眼科が扱う領域です。まつ毛の根元にフケのような付着物がつく、赤く腫れる、目やにが続くときは、眼科での確認をお勧めします。

皮膚科から眼科にお願いすることが多いのは、まぶたをこすり続けている場合です。かき壊すと皮膚の症状が治りにくくなり、こする行為が長く続くと目の合併症につながることがあります。アトピー性皮膚炎では、まぶたの症状が治りにくいときに眼科と連携することが勧められており、自覚症状がなくても目の合併症が見つかることがあります。当院に眼科はありませんので、目の症状が中心のときは眼科の受診をご案内します。

どの科に相談するか迷ったときの考え方はその皮膚トラブル、何科に行けばいい?にまとめています。

Q. 受診したら何を調べますか? 治療で生えてきますか?

見た目とダーモスコピー(拡大鏡での観察)で毛と毛穴の状態を確かめ、必要に応じて血液検査を加えます。頭皮や眉毛の限局した円形脱毛症では、ステロイドの塗り薬が治療の選択肢になります。ただし、眉毛・まつ毛は眼に近く皮膚も薄いため、薬の強さ・塗る位置・期間を個別に決めます。

円形脱毛症は多くの場合、診察所見と拡大鏡での観察で診断がつき、皮膚を切り取る検査までは要りません。ただし、瘢痕性脱毛症が疑われる場合には、皮膚生検が必要になることがあります(当院では行っていないため、連携する医療機関へご紹介します)。拡大して見ると、病気が動いている時期には、根元が細くなった毛(感嘆符毛:かんたんふもう)、途中で切れた毛、黒い点が現れます。抜く癖や引っ張る負担による脱毛は、違う見え方をします。

治療は範囲と進み方で変わります。

見た目を補う工夫を我慢する必要はありません。頭の毛では、かつらは病気の勢いに悪い影響を与えないとされています。ただし、まぶたに炎症があるときは刺激になりますので、落ち着くまでは控えてください。

よくあるご相談

複数の診療経験をもとに再構成した典型的な例です。当院の皮膚科外来では、「片方の眉毛の外側だけ、2か月ほど前から薄くなってきた」というご相談をいただくことがあります。問診では、毛を抜く癖、眉のお手入れ、飲んでいる薬、疲れやすさやむくみといった体調の変化をうかがいます。診察では、脱毛部の境界と皮膚の状態、頭皮やひげ・体毛の脱毛の有無、まぶたのふちの炎症を、拡大鏡も使って確かめます。眉毛の外側だけの脱毛では、甲状腺機能低下症のほか、瘢痕性脱毛症、摩擦や抜毛、まぶたや皮膚の炎症も考えます。円形脱毛症が疑われ、体調の変化も伴う場合には、背景を調べる血液検査をご提案します。範囲が狭ければ塗り薬から始め、効き方をみる期間の目安と、広がったときの対応を先にお伝えしています。

当院での診療

当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が、まつ毛・眉毛の脱毛について、円形脱毛症か、抜く癖や引っ張る負担によるものか、体の病気が背景にあるかを見きわめる診療を行っています。ダーモスコピーによる観察と、必要に応じた血液検査は院内で行えます。範囲の狭い円形脱毛症には、部位に応じた強さと期間で塗り薬による治療を行います。脱毛部への注射、わざと軽いかぶれを起こす治療、紫外線を当てる治療、飲み薬による治療は当院では行っていないため、範囲が広い場合や進行が速い場合は、連携する医療機関へご紹介します。目の症状が中心のときは眼科の受診をご案内します。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。

まとめ

参考文献

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