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高尿酸血症

執筆:斎藤史武 公開日:2026-08-12

健康診断で「尿酸値が高い」と指摘されたまま、そのままにしていませんか。高尿酸血症は自覚症状が乏しいまま進み、ある日突然の痛風発作や、腎機能の低下、尿路結石、心血管疾患の背景因子となることが知られています。「ただの体質」と思われがちですが、放置すると体の中では少しずつ負担が積み重なっていきます。

けれども、早めに気づいて生活習慣を整え、必要に応じて薬物療法を行うことで、痛風発作や尿酸塩の沈着による障害、尿路結石のリスクを下げることが期待できます。高尿酸血症は腎臓や心血管の病気とも関連しますが、尿酸値を下げること自体がこれらを確実に防ぐかどうかは、まだ十分に確立していません。このページでは、高尿酸血症とはどんな状態か、原因や検査、治療の進め方を、できるだけわかりやすくご説明します。健診で尿酸値を指摘された方、痛風発作の経験がある方、ご家族に痛風の方がいらっしゃる方は、受診の目安としてご覧ください。

高尿酸血症とはどんな病気ですか?

性別や年齢にかかわらず、血清尿酸値が 7.0mg/dL を超えた状態を高尿酸血症と呼びます。尿酸は、古くなった細胞や食事に含まれるプリン体が体内で分解されるときにできる老廃物で、ふだんは尿や便から排泄されます。ところが、産生と排泄のバランスが崩れると血中に蓄積し、関節や腎臓、皮下組織に尿酸塩の結晶として析出してしまいます。

高尿酸血症そのものには痛みもしびれもありません。しかし、その状態が長く続くと、ある日突然の関節炎(痛風発作)として現れたり、知らないうちに腎臓に負担をかけたりします。7.0mg/dL という数値は、尿酸が血液に溶けきる限界(溶解度)をもとに定めた高尿酸血症の定義です。1 回の数値だけで体への影響を判断することはできないため、再検査のうえ、腎機能や尿路結石の有無、ほかの生活習慣病もあわせて評価します。

高尿酸血症は、日本では成人男性の 20〜25% にみられるとも報告されており、決して珍しい状態ではありません。閉経前の女性は女性ホルモンの作用で尿酸が排泄されやすいため比較的少ないものの、閉経後はリスクが上がります。男女問わず、年齢や生活習慣の変化に応じてチェックしていくことが大切です。

高尿酸血症が関わる病気には何がありますか?

高尿酸血症が長引くと、次のような病気のリスクが上がる、あるいは合併しやすくなることが知られています。

  1. 痛風発作(急性痛風関節炎)
  2. 痛風結節(慢性結節性痛風)
  3. 腎障害(痛風腎・慢性腎臓病)
  4. 尿路結石(尿酸結石)
  5. 高血圧
  6. 脂質異常症
  7. 2型糖尿病・耐糖能異常
  8. メタボリックシンドローム
  9. 心血管疾患(狭心症・心筋梗塞・脳卒中など)

痛風発作は、関節内に析出した尿酸塩結晶が炎症を引き起こすことで発症します。第一中足趾節関節(足の親指の付け根)が好発部位で、夜間から早朝に突然強い痛み・赤み・腫れ・熱感が出るのが典型です。発作を繰り返すと、皮下や関節周囲に結晶のかたまり(痛風結節)ができることもあります。

長期間にわたって尿酸値が高い状態が続くと、尿酸塩が腎臓に沈着して腎機能の低下を起こすことがあります。高尿酸血症は慢性腎臓病(CKD)の発症・進行と関連することが報告されていますが、尿酸値の上昇がCKDの直接の原因であるか、また尿酸値を下げることでCKDの進行を防げるかについては、結論が一致していません。また、尿酸結石には、尿が酸性の状態が続くことが特に強く関わり、尿中に排泄される尿酸が多いとリスクがさらに高まります。背中や脇腹の強い痛み、血尿の原因になることがあります。

高尿酸血症と心血管疾患との因果関係については議論が続いていますが、高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満と合併しやすく、これらが重なると動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることが報告されています。尿酸値だけでなく、合併する生活習慣病もあわせて評価することが重要です。

高尿酸血症の原因は何ですか?

高尿酸血症は、尿酸の「作られ方」と「出され方」のどちらに問題があるかによって、大きく 4 つの病型に分けられます。

  1. 尿酸産生過剰型:体の中で尿酸が過剰に作られるタイプ。プリン体の摂りすぎや、造血器疾患、激しい運動などが背景になることがあります。
  2. 尿酸排泄低下型:腎臓からの尿酸の排泄が落ちるタイプ。遺伝的な体質、腎機能の低下、肥満、インスリン抵抗性などが関わります。
  3. 腎外排泄低下型:腸管など、腎臓以外からの尿酸の排泄が落ちるタイプ。近年になって知られるようになった病型です。
  4. 混合型:産生過剰と排泄低下の両方が関わるタイプ。日本人では排泄低下型と混合型が多いとされています。

尿酸産生過剰型と腎外排泄低下型は、腎臓に流れ込む尿酸が増えるという共通点から、あわせて「腎負荷型」と呼ばれることもあります。

病型によって食事・生活習慣で気をつけるポイントや、薬を選ぶときの考え方が変わってきます。そのため、高尿酸血症の方を一律に「プリン体を控えればよい」と考えるのではなく、その方の体でどちらに偏りがあるかを評価することが大切です。

また、高尿酸血症は遺伝的な要素もあります。ご家族に痛風や尿酸値が高い方がいる場合は、若いうちから定期的にチェックしておくと安心です。利尿薬や一部の薬剤が尿酸値を上げることもあるため、ふだん飲んでいる薬についても主治医に伝えてください。

高尿酸血症はどのように診断するのですか?

まず行うのは血液検査で、血清尿酸値を確認します。同時に、腎機能(クレアチニン・eGFR)、肝機能、血糖、HbA1c、脂質などを調べ、ほかの生活習慣病が合併していないかを評価します。尿酸値は食事や運動、脱水の影響を受けるため、数値が高めだった場合は時期を変えて再検査することもあります。

尿検査では、尿の pH や尿沈渣から、腎臓・尿路の合併症を評価します。病型を調べる必要がある場合は、尿中に排泄される尿酸の量や、尿酸クリアランス・クレアチニンクリアランスを測ります。腎臓・尿路の超音波検査で、結石の有無を確認することもあります。

痛風発作が疑われる場合は、関節の所見をていねいに確認し、必要に応じて関節液の検査などを検討します。発作中は尿酸値が一時的に下がることもあるため、その時点の数値だけで判断せず、経過を含めて評価していきます。

診断では、「7.0mg/dL を超えているか」だけでなく、「痛風や合併症がすでにあるか」「どの病型か」「ほかの生活習慣病はないか」を一緒にみることが大切です。同じ尿酸値でも、合併症の有無によって治療の必要性や目標値は変わります。

食事や生活習慣で気をつけることは?

薬を使う・使わないに関わらず、生活習慣の見直しはすべての患者さんで治療の土台になります。完璧を目指すより、続けやすい工夫を積み重ねていくことが大切です。

  1. プリン体の摂りすぎに注意する レバー類・白子・干物・肉汁の濃いスープなど、プリン体を多く含む食品は控えめにし、1 日あたり 400mg を目安にします。野菜、海藻、低脂肪の乳製品は積極的に摂ってよいとされています。
  2. アルコールは種類を問わず控えめに アルコールは肝臓での尿酸産生を増やし、排泄を妨げます。ビールはプリン体も多く特に注意が必要ですが、「プリン体ゼロ」の表示があっても、蒸留酒であっても、過剰摂取は尿酸値を上げます。休肝日を設け、1 日の量を決めて飲むようにしましょう。
  3. 果糖・甘い飲み物を控える 清涼飲料水や菓子に多く含まれる果糖(フルクトース)は、代謝の過程で尿酸産生を増やします。ジュースやスポーツドリンクを毎日飲む習慣がある方は、水やお茶に置き換えるだけでも効果が期待できます。
  4. 水分・運動・体重管理 脱水は尿酸値の上昇や結石のきっかけになるため、水分は十分にとります。尿路結石がある方では、腎機能や心機能に問題がなければ、1 日 2,000〜2,500mL 程度の水分をとり、尿量を 1 日 2,000mL 以上確保することが目安とされています。ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、無理のない範囲で続けましょう。肥満がある場合は、緩やかな減量が尿酸値の改善につながります。一方で、急な絶食や激しい無酸素運動はかえって尿酸値を上げることがあるため避けます。

「プリン体ゼロだから安心」「ビール以外なら大丈夫」と思われがちですが、表示や種類だけでなく、全体の食事量・飲酒量のバランスを見直すことが大切です。生活の中で何を変えやすいか、医師や管理栄養士と一緒に整理していきましょう。

高尿酸血症はどのように治療するのですか?

治療の目的は、尿酸値を下げることだけではなく、痛風発作や腎障害、心血管疾患などの合併症を防ぎ、長く健康に過ごせる体を保つことです。一般的には、生活習慣の見直しを土台に、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。

日本痛風・尿酸核酸学会のガイドラインでは、次のような場合に薬物療法の開始を検討します。

  1. 痛風関節炎や痛風結節がある場合
  2. 無症候性高尿酸血症でも、血清尿酸値が 8.0mg/dL 以上で、腎障害・尿路結石・高血圧・虚血性心疾患・糖尿病・メタボリックシンドロームなどを合併する場合
  3. 血清尿酸値が 9.0mg/dL 以上の場合

治療の目標は、原則として血清尿酸値を 6.0mg/dL 以下 に保つことです。皮下にできるような大きな痛風結節がある場合などには、5.0mg/dL 以下を目標とすることがあります。

薬物療法には、尿酸の産生を抑えるタイプの薬と、尿酸の排泄を促すタイプの薬があり、病型、腎機能、尿路結石の既往、ほかの内服薬などをみたうえで選択します。痛風発作の最中は、原則として尿酸を下げる薬を新しく開始することは避け、まず炎症を抑える治療を優先します。すでに尿酸降下薬を飲んでいる方は、自己判断で中止すると症状が悪化することがあるため、続けながら主治医に相談してください。

尿酸値を急に下げると、かえって痛風発作を誘発することがあります。そのため、薬は少量から始め、数週から数か月かけてゆるやかに目標値に近づけていきます。開始後も定期的に採血で尿酸値・腎機能・副作用の有無を確認しながら、その方に合った量に調整していきます。

難治性の痛風や、進行した腎機能障害、複雑な尿路結石、専門的な関節評価が必要な場合などは、地域の高次医療機関(腎臓内科・泌尿器科・リウマチ科など)と連携してご紹介いたします。当院はかかりつけ医として、紹介後も生活指導や内服管理を継続してサポートします。

尿酸値が高いと言われたら、痛風発作が出る前に

高尿酸血症は、痛みが出る前の段階でこそ対策する価値のある病気です。次のような場合は、一度ご相談をおすすめします。

なお、関節が急に赤く腫れて強く痛む場合は、痛風のほかに細菌による関節の感染などの可能性もあります。発熱や悪寒がある、急速に悪化する、免疫の働きが低下する治療を受けているといった場合は、当日中に医療機関へご相談ください。

発作を経験してからではなく、その前に。受診の際は健診結果表をお持ちいただくと、評価がスムーズに進みます。

参考文献

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