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γ-GTPが高い=お酒のせい?肝機能の数値の読み方

執筆:斎藤史武 公開日:2026-09-09

健診の結果表で、γ-GTPの欄だけに印がついていた。心当たりがあるとすれば付き合いのお酒くらいで、体調はどこも悪くない——そう話しながら結果表を持ってこられる方は多くいらっしゃいます。反対に、ほとんど飲まないのに肝機能を指摘され、何を疑われているのか分からないまま数か月が過ぎることもあります。肝機能の欄には性格の違う数値が並び、項目ごとに基準の位置も違うため、結果表を眺めるだけでは意味がつかみにくくなっています。

このページでは、なみきばしクリニックの内科担当医(総合内科専門医・呼吸器専門医・アレルギー専門医)が、AST・ALT・γ-GTPがそれぞれ何を見ている数値なのか、どこからが受診の目安になるのか、そして飲酒以外にどんな原因で上がるのかを整理します。脂肪肝と診断されたあとの検査や治療は別のページで扱いますので、この記事は結果表を受け取った直後の読み解きに絞ります。診察のご希望はWeb予約からどうぞ。

AST・ALT・γ-GTPは、それぞれ何を見ている数値ですか?

3つとも「肝機能」の欄に並びますが、映しているものは同じではありません。

AST(エーエスティー。GOTとも呼びます)とALT(エーエルティー。GPTとも呼びます)は、細胞の中ではたらく酵素です。肝臓の細胞が傷つくと血液中に漏れ出てくるため、肝細胞の障害の手がかりになります。ただし、数値の高さだけで肝臓の働きや線維化(せんいか:肝臓が硬くなること)の程度は判断できません。

2つの違いは、どこにある酵素かという点にあります。ASTは心臓や筋肉にも多く含まれるのに対し、ALTは肝臓に多く、ほかの臓器にはあまり含まれません。そのためALTの高さは肝臓の障害をよく映します。逆にASTだけが高い場合には、直前の激しい運動や筋肉の損傷など、肝臓以外の原因も確認します。

γ-GTP(ガンマジーティーピー。結果表ではγ-GTと書かれることもあります)は、肝臓と胆道(たんどう:肝臓で作られた胆汁の通り道)にある酵素です。肝臓そのものが傷んだときに加えて、胆汁の流れが滞ったときにも上がります。ただし、胆汁の流れの異常を疑う場合は、γ-GTPだけでなく、ALPやビリルビンなどの数値、症状、画像検査もあわせて判断します。AST・ALTとは別の情報を持っているため、3つを並べて見ることに意味が出てきます。

健診結果は、どこからが「肝機能が高い」ことになりますか?

国の健診プログラムでは、肝機能の3項目に二段階の線が引かれています。生活習慣を見直す段階を示す保健指導判定値と、医療機関で確かめる段階を示す受診勧奨判定値です。

健診での位置づけASTALTγ-GTP案内される対応
基準範囲内30 U/L以下30 U/L以下50 U/L以下今後も継続して健診を受ける
保健指導判定値を超えるレベル31〜50 U/L31〜50 U/L51〜100 U/L生活習慣の改善に取り組む
受診勧奨判定値を超えるレベル51 U/L以上51 U/L以上101 U/L以上医療機関を受診する

気づいていただきたいのは、3つの項目で線の位置が違うことです。AST・ALTは30までが基準範囲であるのに対し、γ-GTPは50までが基準範囲で、100までは生活習慣を見直す段階です。AST・ALTと同じ感覚で「50を超えたから重い」と読むと、実際より深刻に受け取ってしまいます。

人間ドックの判定区分(2026年4月1日改定)でも、AST・ALTは51 U/L以上、γ-GTPは101 U/L以上がD(要精密検査・治療)とされており、同じ線が使われています。なお、数値が数百U/Lなど大幅に高い場合は、表の区分にかかわらず早めに受診してください。また、皮膚や白目が黄色い(黄疸)、尿の色が濃い褐色、強いだるさや嘔吐、意識がはっきりしない、発熱を伴う右上腹部の痛みといった症状がある場合は、健診の数値を待たずに当日中に医療機関へご相談ください。健診の種類ごとの判定の読み方は健康診断で要精密検査と言われたらで整理しています。

この判定区分は初回受診時の拠り所として作られたもので、調べた結果はっきりした原因が見つからなければ、判定を変え直すのが妥当とされています。線を越えたことと、病気が決まったことは別です。

なお日本肝臓学会も、2023年の「奈良宣言2023」でALTが30 U/Lを超えたら受診の目安とするよう呼びかけています。上の表の基準範囲の上限と同じ線です。

γ-GTPが上がるのは、お酒のせいだけですか?

お酒はよくある原因ですが、それだけではありません。γ-GTPが高いときに考えるのは、アルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞(たんじゅううったい:胆汁の流れが滞ること)、薬剤性肝障害(やくざいせいかんしょうがい:薬が原因で起こる肝臓の障害)などです。脂肪肝があるときにも、ALTの上昇に伴ってγ-GTPが軽く上がることがあります。

薬剤性肝障害という言葉が指す範囲は、処方薬にとどまりません。市販薬・サプリメント・健康食品・漢方でも起こります。飲酒量と同じくらい、いま口にしているものの棚卸しが原因を絞る手がかりになります。

さらに、γ-GTPの上昇は肝臓の中だけの話にとどまりません。国の健診プログラムは、γ-GTPの上昇が飲酒習慣の有無にかかわらず将来の脳・心血管疾患や糖尿病の発症と関連すること、ALTの上昇も糖尿病の発症と関連することを、複数の研究の結果として補足しています。「お酒を飲まないのだから関係ない」とは言い切れず、血糖や体重とあわせて見ておく理由がここにあります。血糖の数値の読み方はHbA1cが高いと言われたらでご説明しています。

お酒は量を数字に置き換えると見当がつけやすくなります。純アルコール量は「飲んだ量(mL)×度数÷100×0.8」で計算でき、度数5%のビール500 mLでちょうど20 gです。国は、1日平均の純アルコール量が男性40 g以上、女性20 g以上となる飲酒を「生活習慣病のリスクを高める量」として、減酒支援の目安にしています。ただし、この量未満なら安全という意味ではなく、病気の種類や体質によっては、より少ない量でもリスクが上がります。

3つの数値の組み合わせから、何が分かりますか?

数値を1つずつ見るより、組み合わせのほうが多くを語ります。国の健診プログラムは次の読み分けを示しています。

脂肪肝の分類は近年見直され、飲酒量だけで診断が決まるのではなく、画像検査での脂肪のたまり具合、肥満・血糖・血圧・脂質といった代謝のリスク、飲酒量を組み合わせて判断します。必要に応じて腹部超音波検査などで脂肪化を確認します。脂肪肝が疑われる形であれば、食事では過剰な糖分と脂質を控え、体を動かす習慣をつけることが勧められます。

ここに当てはまらない上がり方をすることもあります。生活習慣が原因ではない肝機能の異常として、B型・C型などのウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、自己免疫性肝炎(じこめんえきせいかんえん:自分の免疫が肝臓を攻撃して起こる肝炎)が挙げられており、いずれも血液検査で手がかりをつかめます。

脂肪肝が疑われる形だった場合、次に知りたいのは肝臓がどのくらい傷んでいるかです。その評価の進め方と、食事・運動・体重の具体的な目安は脂肪肝のページにまとめてあります。

肝機能を指摘されたら、次に何をすればよいですか?

やることは大きく3つです。

1. 結果表を持って受診する

肝機能の数値は、その年の値よりも前回からの動きで意味が変わります。去年まで基準範囲だったのか、数年かけて上がってきたのかで、考える原因が変わるためです。過去の結果が残っていればあわせてお持ちください。日本肝臓学会も、ALTが30 U/Lを超えたらまずかかりつけ医を受診し、そこで原因を調べて、必要に応じて専門の診療科へつなぐという流れを勧めています。

2. お酒と、飲んでいるものを書き出す

1週間に何をどれくらい飲んだかを、種類と量で書き出してみてください。あわせて処方薬・市販薬・サプリメント・健康食品・漢方を一覧にしておくと、診察での絞り込みが早く進みます。

3. 条件を整えて測り直し、原因を絞る

肝機能はその日の体調や直前の飲酒でも動きます。改めて採血し、血糖・HbA1c・脂質・体重もあわせて確認して、肝臓だけの問題なのか代謝全体の問題なのかを見ます。ウイルス性肝炎が背景にないかも血液検査で確かめられます。

当院では、肝機能を含む血液検査(採血は院内で行い、結果は後日ご説明します)、尿検査、心電図、胸部X線検査を行っています。B型・C型の肝炎ウイルスを調べる検査は、個人健診のオプションとしてご用意しています。渋谷区の特定健診の実施医療機関でもありますので、健診から結果のご相談までを続けてお引き受けできます。健診の内容は健康診断のご案内をご覧ください。腹部の超音波検査など当院で行っていない検査が必要と判断した場合には、連携する医療機関へご紹介します。

肝機能のほかにも複数の項目を指摘された方は生活習慣病のページを、コレステロールを一緒に指摘された方はLDLコレステロールが高いと言われたらもあわせてご覧ください。

診察室でよくあるご相談

以下は、複数の診療経験をもとに再構成した典型的な例です。

50代の男性が、会社の健診でγ-GTP 130 U/L、ALT 45 U/L、AST 32 U/Lと指摘され、結果表を持って来院されました。自覚症状はなく、飲むのは週に2日とのことでしたが、うかがうと1回あたりの量が多く、この3年で体重が5kg増えていました。処方薬はなく、市販の健康食品を数種類続けていることが分かりました。血液検査で肝炎ウイルスと血糖・HbA1c・脂質をあわせて確認したところ、ウイルスは陰性で、血糖は境界の域にありました。飲む日の量を減らすことと、体重を戻す方向での食事の見直しから始め、3か月後の採血で確認する方針とし、画像で肝臓を詳しく調べる必要が出た場合には連携先へご紹介する見通しもお伝えしました。

よくあるご質問(FAQ)

Q. γ-GTPが高いのは、やはりお酒のせいですか?

お酒はよくある原因のひとつですが、それだけではありません。γ-GTPは肝臓と胆道の両方にある酵素で、胆汁の流れが滞ったとき、薬やサプリメントが影響しているとき、脂肪肝があるときにも上がります。飲酒習慣のない方が指摘されることもめずらしくありません。

Q. AST・ALT・γ-GTPのうち、どれをいちばん見ればよいですか?

どれか1つを選ぶ読み方はしません。肝細胞の障害を映しやすいのはALTですが、ASTは心臓や筋肉にも含まれるため単独では肝臓の指標になりにくく、γ-GTPは肝臓に加えて胆道の情報を持ちます。3つの上がり方の組み合わせで、疑う方向が変わります。

Q. お酒をやめれば、γ-GTPは下がりますか?

飲酒が主な原因であれば、量を減らすことで下がってくることが多い数値です。ただし下がり方や必要な期間には個人差があり、飲酒以外の原因が重なっていると、思ったほど下がらないこともあります。再検査の時期は、数値の高さとほかの検査結果を見て決めます。

Q. 飲んでいる薬やサプリメントが原因のこともありますか?

あります。薬が原因で起こる肝臓の障害は、処方薬に限らず、市販薬・サプリメント・健康食品・漢方でも起こりえます。受診の際は、飲んでいるものをお薬手帳や現物、写真でお持ちください。自己判断で急に中止するともとの病気の治療に影響することがありますので、中止の可否は診察でご相談ください。

Q. 去年は正常だったのに、今年だけ高く出ました。どうすればよいですか?

1回の数値だけで判断せず、条件を整えて測り直すところから始めます。判定区分は初回受診時の拠り所とされており、調べても原因がはっきりしなければ判定を見直すのが妥当とされています。直前の飲酒や体調でも動く数値ですので、結果表を持ってご相談ください。

参考文献

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。判定の基準は健診の種類や実施機関によって異なる場合があり、診断・治療方針は個々の状態により変わります。最終的な判断は診察のうえで行いますので、気になる結果のある方は医療機関にご相談ください。

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