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睡眠時無呼吸の自宅検査とは?流れ・費用・保険適用

執筆:斎藤史武 公開日:2026-09-09

「いびきがうるさいと家族に言われた」「寝ているときに呼吸が止まっていたらしい」──そう指摘されても、検査となると急にハードルが上がったように感じる方は多いものです。入院して一晩過ごさなければならないのだろうか、費用はどのくらいかかるのだろうか、仕事を休む必要があるのだろうか。そうした疑問のせいで、気になりながら何年も先延ばしになってしまうことは珍しくありません。実際には、睡眠時無呼吸の検査は入院せずご自宅で受けられ、健康保険も使えます。

このページでは、なみきばしクリニックの内科担当医(総合内科専門医・呼吸器専門医・アレルギー専門医)が、自宅でできる検査の種類と流れ、結果に出てくるAHIという数字の読み方、精密検査との違い、費用と保険適用の目安までをご説明します。検査を受けるかどうか迷っている段階の判断材料になれば幸いです。診察のご希望はWeb予約からどうぞ。

睡眠時無呼吸の検査は自宅でできますか?

できます。当院では、まず行うことの多い簡易検査(かんいけんさ:小型の装置を使う検査)も、より詳しく調べる精密検査(せいみつけんさ)も、入院せずご自宅で受けていただけます。

精密検査は、正式には終夜睡眠ポリグラフ検査(しゅうやすいみんポリグラフけんさ:PSG)と呼ばれ、眠っている間の呼吸・脳波・心電図などをまとめて記録する検査です。以前は病院に一泊して行うのが一般的でしたが、近年は精密検査も自宅で受けられるようになりました。当院では自宅での精密検査を行っており、他の睡眠の病気が疑われるなど、より厳密な環境での測定が必要と判断した場合には、入院で検査を行う医療機関へご紹介しています。

そもそも検査が必要なのは、睡眠時無呼吸が「眠っている間だけ起こる病気」だからです。日中の診察でのどの奥を見ても、無呼吸が何回起きているかは分かりません。いびきの大きさや眠気の強さと、実際の無呼吸の回数も一致しないことがあります。ご家族から呼吸の停止を指摘された方や、いびきが続いている方は、まずは一晩測ってみることが近道です。いびきと睡眠時無呼吸の見分け方についてはいびきと睡眠時無呼吸症候群の違いもあわせてご覧ください。

自宅での簡易検査はどのように進みますか?

流れは次のとおりです。

外来での問診・診察:いびきや呼吸停止の指摘、日中の眠気、朝の頭痛、夜間のトイレの回数、体重の変化、血圧などをうかがいます。眠気の強さを点数にする問診票を使うこともあります。そのうえで、簡易検査と精密検査のどちらから始めるかを相談して決めます。

ご自宅で一晩の測定:小型の装置を使い、指先のセンサーで血液中の酸素の状態を、鼻のセンサーなどで呼吸の状態を記録します。装置によっては、いびきや胸・お腹の動きも測定します。装着のしかたは検査の前にご説明します。普段どおりの時間に、いつもの寝室で眠っていただければ大丈夫です。

装置の返却と解析:記録されたデータをもとに、無呼吸や低呼吸が一晩に何回あったか、そのときに血液中の酸素がどこまで下がったかを解析します。

外来で結果説明:検査結果は次の診察でご説明します。検査の数値に加えて、症状や血圧、合併症の有無と合わせて、治療が必要な状態かどうかを一緒に考えます。

痛みを伴う検査ではなく、麻酔も採血も要りません。仕事を休む必要がないため、平日の夜に測定して翌朝そのまま出勤していただけます。

検査で出てくるAHIとはどんな数字ですか?

検査結果の中心になるのが、呼吸が止まる「無呼吸」と、呼吸が浅くなる「低呼吸」が1時間あたりに何回起きたかを表す数値です。精密検査(PSG)ではAHI(無呼吸低呼吸指数:眠っている1時間あたりの回数)、簡易検査では厳密にはREI(呼吸イベント指数:記録していた1時間あたりの回数)と呼びます。ただし、日本の保険診療や検査レポートでは、簡易検査の数値もAHIと表示されることがあります。

成人では、閉塞性(のどが塞がるタイプ)の呼吸イベントが主体で、AHIまたはREIが1時間あたり5回以上あり、いびき・呼吸停止の指摘・日中の眠気などの症状、または高血圧や心血管の病気、2型糖尿病などを伴う場合に、閉塞性睡眠時無呼吸と診断されます。これらがはっきりしない場合でも、15回以上であれば診断の基準を満たします。重症度は、5回以上15回未満が軽症、15回以上30回未満が中等症、30回以上が重症と分けられます。

ここで知っておいていただきたいのが、簡易検査の数値の読み方です。簡易検査では脳波を測らないため、「実際に眠っていた時間」ではなく「記録していた時間全体」で回数を割ることになります。寝つけずに横になっていた時間も分母に入るぶん、精密検査で出るAHIより低めの数値になることがあります。この理由から、簡易検査の結果は睡眠時無呼吸を疑うきっかけとしては十分でも、重症度をそのまま確定する数字とは限りません。数値が基準に届かないのに眠気やいびきが強い場合には、精密検査で確かめる意味があります。

簡易検査と精密検査(PSG)は何が違いますか?

測る項目の数が違います。

簡易検査で記録するのは、呼吸の状態や血液中の酸素の状態といった「呼吸に関する情報」です(装置によっては、いびきの音や胸・お腹の動きも記録します)。装着が簡単で、自宅で手軽に行えるのが利点です。

精密検査(PSG)では、これらに加えて脳波・眼球の動き・筋肉の動き・心電図などを記録します。脳波を測ることで、何時に眠りに入り、どのくらいの深さで眠り、途中で何回目が覚めたのかまで分かります。無呼吸のたびに眠りが浅くなっている様子や、呼吸を止める指令そのものが弱くなる中枢性のタイプが混じっていないかも評価できます。

どちらから始めるかは、症状と持病によって決めます。大きな併存疾患のない成人で、いびきと日中の眠気がそろっていて中等症以上が予想される場合は、簡易検査から始めることが多くなります。一方、心不全や不整脈などの重い心臓の病気や肺の慢性的な病気がある方、神経や筋肉の病気がある方、睡眠中に呼吸が浅くなる低換気が疑われる方、医療用麻薬(オピオイド)を継続して使用している方、脳卒中後の方、強い不眠や他の睡眠の病気が疑われる方、そして簡易検査の結果と症状が食い違う方では、精密検査での評価を優先することがあります。当院では両方とも自宅で行えるため、「簡易検査で足りなければ、次は自宅で精密検査へ」という進め方ができます。

検査の費用はどのくらいで、保険は使えますか?

検査には健康保険が使えます。当院での検査費用は、3割負担の方の場合、簡易検査が2,000円台、精密検査(PSG)が6,000円台が目安です。このほかに、診察料など受診に関わる費用が別途かかります。負担割合によって金額は変わりますので、詳しくは受診時にご案内します。

治療についても、検査の結果が一定の基準を満たせば健康保険が使えます。睡眠時無呼吸の治療の中心となる2026年6月以降、CPAP(シーパップ:鼻に着けたマスクから空気を送り、狭くなった空気の通り道を広げる治療)を保険診療で始める際の数値上の目安は、精密検査(PSG)でAHIが15以上、簡易検査では30以上です。検査の種類によって基準の数字が異なる点にご注意ください。簡易検査で30に届かなくても、精密検査では15を超えて治療の対象になる方がいらっしゃいます。

もっとも、数値だけで自動的に保険適用になるわけではありません。日中の強い眠気や起床時の頭痛などの自覚症状が日常生活に支障をきたしていることも要件になります。AHIが15以上30未満の場合は、精密検査で睡眠の分断などを確認する必要があります。30以上の場合は、所定の条件を満たせば精密検査を省略してCPAPへ進めることがあります。高血圧や心臓の病気を併せ持っているかといった点も含めて、治療の必要性を判断します。基準に届かない軽症の場合でも、減量や横向きで眠る工夫、飲酒量の見直しといった対応から始めることがあります。

当院での検査と、検査のあとの流れ

なみきばしクリニックの呼吸器内科では、日本呼吸器学会 呼吸器専門医が、いびき・睡眠時無呼吸の相談から検査、診断、治療の継続までを担当します。簡易検査も精密検査も自宅で受けていただけるため、入院の予定を空ける必要はありません。

検査で診断がつき、基準を満たした場合には、そのままCPAP治療へ進めます。治療の開始後は定期的に受診していただき、使用状況やマスクの合い具合を確認しながら調整します。治療をいつまで続けるのか、やめられる条件があるのかについてはCPAP治療はいつまで続ける?で詳しくご説明しています。軽症の方やCPAPが合わない方の選択肢となるマウスピース(口腔内装置)は歯科での作製となるため、診断した医師から診療情報提供を行う形になります。

睡眠時無呼吸という病気そのものの成り立ちや合併症については睡眠時無呼吸症候群のページにまとめています。渋谷駅C1出口から徒歩7分、並木橋交差点から徒歩1分ですので、「検査を受けるべきか相談したい」という段階でもご相談ください。

診察室でよくあるご相談

以下は、複数の診療経験をもとに再構成した典型的な例です。40代の男性が、ご家族から「いびきの途中で呼吸が止まっている」と何度も指摘され、受診されました。ご本人は眠気を強く感じておらず、健診で血圧が高めと言われた以外に困っていることはないとのことでしたが、問診では朝の頭痛と夜間に2回トイレに起きることが分かりました。まずご自宅で簡易検査を行ったところ、無呼吸と低呼吸は1時間あたり20回台で、酸素の下がり方も目立ちました。ご本人と相談のうえ、重症度をはっきりさせるために自宅での精密検査に進み、自宅での精密検査でAHIが30以上であることを確認し、起床時の頭痛などの症状が生活に影響していることも踏まえて、CPAP治療を開始し、血圧の推移も一緒に確認していく方針としました。眠気の自覚がないまま高血圧の背景に睡眠時無呼吸が隠れている例は、外来でしばしば経験します。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 検査のために入院しなければいけませんか? いいえ。当院では簡易検査も精密検査(PSG)もご自宅で受けていただけます。以前は精密検査を入院で行うのが一般的でしたが、現在は自宅での測定が可能です。他の睡眠の病気が疑われるなど、入院での評価が望ましいと判断した場合には、検査を行っている医療機関へご紹介します。

Q. 日中の眠気がなくても検査を受けたほうがよいですか? いびきや呼吸停止を指摘されている方、治療しても血圧が下がりにくい方、夜間や早朝に血圧が高い方では、眠気がなくても検査を検討します。中等症から重症の無呼吸があっても、眠気を強く感じない方は少なくありません。眠気の有無だけでは重症度を判断できないためです。血圧との関係は睡眠時無呼吸と高血圧の関係でご説明しています。

Q. 検査の費用はどのくらいですか? 3割負担の方で、簡易検査が2,000円台、精密検査(PSG)が6,000円台が目安です。別途、受診に関わる費用がかかります。CPAP治療についても保険が使えますので、費用の見通しは診察時にご案内します。

Q. 一晩だけの検査で正しく分かりますか? 無呼吸の回数には日による変動がありますが、多くの場合、一晩の測定でも診断や重症度の見当をつけるための情報が得られます。お酒は無呼吸を増やしやすいため、検査のために普段より飲酒量を増やさず、できるだけ通常に近い夜に測定してください。結果が境界域の場合や、症状・呼吸停止の指摘と検査結果が食い違う場合には、再検査や精密検査を検討します。

Q. 検査の結果、治療が必要になるのはどのくらいの数値からですか? CPAPを保険で始める際の数値上の目安は、精密検査でAHIが15以上、簡易検査で30以上です。あわせて、日中の強い眠気などの自覚症状が日常生活に支障をきたしていることも要件になります。この基準に届かない場合でも、症状や合併症の状況によって、減量・体位の工夫・マウスピースなどの対応をご提案します。

参考文献

※本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断・治療方針は個々の状態により異なります。最終的な判断は診察のうえで行いますので、気になる症状のある方は医療機関にご相談ください。

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