「水虫なんて自分には関係ない」と思われがちですが、足の水虫(足白癬)は日本人の約5人に1人、爪の水虫(爪白癬)は約10人に1人にみられると推計される身近な感染症です。一方で、「水虫だと思って市販薬を塗り続けていたら、実は違う病気だった」「薬でかぶれてしまった」というケースも多く、自己判断が空回りしやすい病気でもあります。
このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、水虫の症状と検査、治療の進め方をご説明します。ご相談はWeb予約からどうぞ。
Q. 水虫とはどんな病気ですか?
カビの一種である「白癬菌(はくせんきん)」が皮膚の角質に感染して起こる病気です。
白癬菌は、皮膚の一番外側にある角質のケラチンという成分を栄養にして増えます。感染した場所によって呼び名が変わります。
- 足白癬:足の指の間や足の裏。いわゆる「水虫」です
- 爪白癬:爪の中に菌が入り込み、爪が白く濁って厚くなります
- 体部白癬・股部白癬:体や股に円形の赤みが広がるタイプ(「たむし」「いんきんたむし」)。顔や頭にできることもあります
家庭内でうつることが多く、ご家族に水虫の方がいる場合は、バスマットやスリッパを介した感染がよく起こります。
Q. どんな症状が出ますか?かゆくない水虫もありますか?
「ジュクジュクして皮がむける」だけが水虫ではありません。かゆみのない水虫はむしろ多く、気づかれないまま感染源になっていることがあります。
足白癬には、指の間が白くふやけて皮がむけるタイプ、小さな水ぶくれができるタイプ、かかとを中心に角質がガサガサと厚くなる乾燥タイプがあります。特に乾燥タイプはかゆみが出にくく、「ただの乾燥」と思われて放置されがちです。外来でも、「かかとのガサつきに何年も保湿クリームを塗っていたが良くならない」というご相談を調べてみたら水虫だった、ということがよくあります。
実際、水虫以外の理由で皮膚科を受診した方の足を調べた全国調査では、6人に1人に足白癬か爪白癬が見つかったと報告されており、その多くはご本人が気づいていませんでした。
爪白癬では、爪の先や根もとが白〜黄色く濁り、厚くもろくなります。痛みが出にくいため放置されやすいのですが、放っておくと他の指の爪や家族へ広がる原因になります。
Q. 診断はどのように行いますか?
皮膚や爪の一部を少しだけ採って、顕微鏡で白癬菌がいるかを確認します。短時間ででき、体への負担の少ない検査です。
足の皮むけやかゆみをきたす病気には、湿疹やかぶれ(接触皮膚炎)、汗による皮膚炎など、水虫とよく似たものがたくさんあります。見た目だけで水虫と断定することはできず、実際に「水虫と思って治療されていたのに菌がいなかった」というケースは珍しくありません。
さらにやっかいなことに、市販の水虫薬でかぶれてしまい、元の水虫とかぶれが混ざって悪化した状態で受診される方もいます。塗り薬を使う前に、まず検査で診断をつけることをお勧めします。
Q. 治療はどのように行いますか?
足や体の水虫は抗真菌薬の塗り薬、爪の水虫は飲み薬が治療の中心です。いずれも「症状が消えてからが勝負」の根気の治療です。
- 足白癬・体部白癬:抗真菌薬の塗り薬を毎日続けます。見た目がきれいになっても角質の中に菌が残っているため、皮膚が入れ替わるまで塗り続けることが再発予防の鍵です。必要な期間は病型によって異なり、2ヶ月から半年程度が目安です。塗る範囲は、症状のある場所にとどめず、足の裏全体〜指の間までが基本です
- 爪白癬:塗り薬が届きにくいため、飲み薬による治療が中心です。爪が生え替わるまで治療を続けるため、半年〜1年単位の治療になります。飲み薬には肝機能などの定期チェックが必要なものがあり、体の状態に合わせて選択します。爪専用の塗り薬という選択肢もあります
かゆみが取れた時点で薬をやめてしまうのが、再発のもっとも多いパターンです。「いつまで続けるか」も含めて、診察でご案内します。
また、酢に足を浸すなどの民間療法で「治った」と感じる方がいますが、その多くは、秋から冬にかけて症状が自然に軽くなる季節的な変化を治療の効果と取り違えたものです。菌は角質の中に残っており、翌年の夏に繰り返すことが多いため、「毎年夏になると水虫になる」という方こそ、一度検査と治療をおすすめします。
Q. 家族にうつさない・再発させないためにできることはありますか?
「足を毎日洗って乾かす」「履き物とマットを共用しない」が基本です。
- 毎日、石鹸で指の間まで洗い、風呂上がりに水気をよく拭き取る
- バスマット・スリッパの共用を避け、こまめに洗って乾かす
- 靴は同じものを毎日履かず、乾燥させながらローテーションする
- ご家族に症状のある方がいれば、一緒に受診して診断を受ける
白癬菌は湿った環境が好きなので、「洗う・乾かす・共用しない」の3点で家庭内の感染の輪を断ち切れます。
当院での診療
当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が、顕微鏡検査で白癬菌を確認したうえで治療を行っています。「水虫かどうかはっきりさせたい」という段階のご相談も歓迎です。市販薬を使用中の方は、検査の精度に影響することがあるため、受診の際にお薬の名前をお知らせください。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。
まとめ
水虫は約5人に1人にみられる身近な感染症で、見た目だけでは湿疹やかぶれと区別がつきません。顕微鏡検査で診断をつけ、足は塗り薬・爪は飲み薬を「見た目が治ってからも」続けることが、再発を防ぐ鍵です。長引く足のトラブルは、一度皮膚科で検査を受けてみてください。
