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湿疹(皮膚炎)

執筆:斎藤史武 監修:高杉亜里紗 公開日:2026-08-23

「湿疹ですね」と言われたけれど、結局それが何なのかよく分からなかった──そんな経験はないでしょうか。「湿疹」はひとつの病気の名前ではなく、皮膚に起こる炎症(皮膚炎)の総称です。その中には、かぶれ、アトピー性皮膚炎、脂漏性湿疹など、原因も治療も異なるさまざまな病型が含まれています。

このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、湿疹の種類と原因、慢性化させないための治療についてご説明します。ご相談はWeb予約からどうぞ。

Q. 湿疹とはどんな状態ですか?

皮膚の表面に起こる炎症の総称で、「皮膚炎」とも呼ばれます。かゆみを伴い、さまざまな段階の皮疹が同時に混ざってみられるのが特徴です。

赤み(紅斑)、ブツブツ(丘疹)、水ぶくれ(水疱)、かさぶた(痂皮)、皮むけ(落屑)などが混在し、ジュクジュクした状態(湿潤)のことも、カサカサした状態(乾燥)のこともあります。

大切なのは、湿疹は「放っておくと段階が進むことがある」点です。急性期の湿疹の治療が不十分だと、炎症が長引いて皮膚が厚く硬くなり(苔癬化:たいせんか)、色素沈着を残す慢性湿疹へと移行します。慢性化した湿疹は、急性期よりも治療に時間がかかります。

Q. 湿疹にはどんな種類がありますか?

原因や特徴によって、いくつもの病型に分けられます。それぞれ治療のポイントが異なります。

こうした特徴に当てはまらず、原因がはっきり特定できないものが、狭い意味での「湿疹」と呼ばれます。

Q. 湿疹の原因は何ですか?

外からの刺激・アレルギー、皮膚のバリア機能の低下、そして「掻くこと」による悪化の3つが絡み合って起こります。

洗剤や汗、乾燥などの刺激、特定の物質へのアレルギー反応が引き金となり、バリア機能の落ちた皮膚では炎症がさらに起こりやすくなります。かゆみのために掻いてしまうと、皮膚が傷ついてバリアがさらに壊れ、かゆみが増す──この「かゆみと掻破(そうは)の悪循環」が、湿疹を長引かせる大きな要因です。

体質や生活環境も関わるため、同じ刺激でも湿疹になる方とならない方がいます。

Q. 診断はどのように行いますか?

皮疹の分布と経過、生活背景の丁寧な問診が診断の中心です。かぶれが疑われる場合には、原因物質を調べるパッチテストという検査もあります。

「どこに・いつから・何をしたときに悪くなるか」が、湿疹の種類を見分ける大きな手がかりになります。お仕事や家事の内容、化粧品・アクセサリー・塗り薬の使用歴などをお聞きします。特に手の湿疹は、理容師・美容師、看護師、調理の仕事など水仕事の多い職業の方に集中して起こり、「原因は分かっているが仕事は休めない」という悩みを外来でもよく伺います。その場合は、仕事を続けながらどう手を守るか(手袋の使い方・保湿のタイミングなど)まで含めてご提案します。

また、水虫(白癬)のように湿疹とよく似た別の病気もあり、こちらは顕微鏡検査で見分けます。「湿疹だと思って市販薬を塗っていたら水虫だった」というケースもあります。

Q. 治療はどのように行いますか?

炎症を抑えるステロイドの塗り薬が治療の中心です。あわせて、保湿によるスキンケアと、原因・悪化要因を避けることが再発予防の柱になります。

ステロイドと聞くと不安に感じる方は多く、外来でも「できるだけ薄く塗っています」「本当は使いたくありません」という声をよく聞きます。国内の調査でも、半数以上の患者さんがステロイド外用薬に何らかの不安を抱えていたと報告されており、珍しいことではありません。ただ、不安なまま中途半端に使うことが、かえって湿疹を長引かせるもっとも多いパターンです。強さ・量・期間の考え方は診察でご説明しますので、疑問はそのままにせずお尋ねください。

Q. 市販薬で様子をみてもよいですか?

軽い湿疹が数日で良くなるようなら様子をみていただいてよいことが多いですが、市販のステロイド外用薬は5〜6日使っても良くならないときが受診の目安です。「繰り返す」「広がる」場合も受診をお勧めします。

市販薬にも湿疹に使える塗り薬はあります。ただし市販のステロイド外用薬は、添付の説明書で「5〜6日使用しても症状が良くならない場合は使用を中止して医師・薬剤師に相談する」と定められています。効かないまま塗り続けるのは、この目安を超えた使い方になります。

効かない理由でとくに多いのが、湿疹に見えて実は水虫だった場合です。白癬にステロイドを塗り続けると菌が広がって悪化します。市販薬そのものにかぶれていることもあります。

顔や目のまわりの湿疹、乳幼児の湿疹、痛みや腫れを伴う場合は、市販薬で粘らず早めに受診してください。長引く・繰り返す・原因が分からない湿疹は、自己判断を続けるより、皮膚科で診断をつけてから治療することをお勧めします。

当院での診療

当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が、湿疹の種類の見きわめと、外用治療・スキンケア指導を行っています。必要に応じて顕微鏡検査で水虫との鑑別も行います。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。

まとめ

湿疹は皮膚の炎症の総称で、かぶれ・アトピー・脂漏性湿疹など、治療のポイントが異なる病型が含まれます。共通するのは「掻く悪循環を断ち、慢性化する前に炎症を抑える」ことの大切さです。市販薬を5〜6日使っても良くならない湿疹、繰り返す湿疹は、一度皮膚科でご相談ください。

参考文献

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