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蕁麻疹(じんましん)

執筆:斎藤史武 監修:高杉亜里紗 公開日:2026-09-05

「夕方になると蚊に刺されたような腫れが出て、朝には跡形もなく消えている」「何を食べたか思い出しても、心当たりがない」──それは蕁麻疹(じんましん)かもしれません。生涯で一度は経験する人が最大で2割ともいわれるありふれた病気ですが、「原因が見つからない」「薬をやめるとまた出る」と長く付き合うことになる人も少なくありません。

このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、蕁麻疹の見分け方と原因、検査が必要な場合、治療の進め方と薬をやめる時期をご説明します。ご相談はWeb予約からどうぞ。

Q. 蕁麻疹(じんましん)とはどんな病気ですか?

赤く少し盛り上がった、かゆみのある皮疹(膨疹)が出ては消えるのを繰り返す病気です。ひとつひとつの皮疹は、通常24時間以内に跡を残さず消えます。

皮疹は体のどこにでも出て、くっついて地図のように広がることもあります。長く続いているように見えても、ひとつの皮疹が消えて別の場所に新しく出ているだけで、「移動している」ように感じる人もいます。まぶたや唇がぼんやりと腫れる「血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)」を伴う場合、こちらは2〜3日残るのが特徴です。皮疹が同じ場所に丸1日以上とどまる、消えたあとに色素沈着(しみのような跡)が残るときは、蕁麻疹以外の皮膚の病気も考えます。

Q. 蕁麻疹の原因はアレルギーですか?

食べ物や薬のアレルギーが原因の蕁麻疹は全体の一部で、大多数は「原因がはっきりしない」タイプ(特発性蕁麻疹)です。

蕁麻疹は大きく2つに分けられます。

食べ物のアレルギーによる蕁麻疹は、食べてから数分〜2時間以内に出て数時間で消えるのが典型ですが、一部の食べ物では半日近くたってから出る例外もあります。一方、特発性蕁麻疹では、疲れやストレス、感染症、体調の波が重なって皮疹が出やすくなると考えられており、「これを避ければ出なくなる」という単一の原因は見つからないのがふつうです。原因不明であることは病気の重さを意味せず、治療の中心は原因探しより薬で症状を抑えることになります。

Q. アレルギー検査は必要ですか?

蕁麻疹のすべての人に一律のアレルギー検査や血液検査を行うことは勧められていません。問診で疑わしいものがある場合に絞って検査します。

蕁麻疹かどうかは皮疹の経過と見た目でほぼ判断がつきます。大切なのは「どのタイプの蕁麻疹か」で、見分けるには問診が最も重要です。何をしたあとに出たか、出るまでと消えるまでの時間、過去に同じことがあったか、をうかがい、必要に応じて検査を組み合わせます。

検査を考えるのは次のような場合です。

食べ物のアレルギー検査をやみくもに行うと、食べても問題のないものまで「陽性」と出て、不要な食事制限につながります。検査の結果をどう読むかはやみくもなアレルギー検査はしないほうが良いで詳しく解説しています。おとなの食物アレルギーの考え方はこちらのページで解説しています。受診時には皮疹が消えていることも多いので、出ているときにスマホで写真を撮っておいていただくと診断がスムーズです。

Q. 蕁麻疹はどのように治療しますか?

眠気の少ない抗ヒスタミン薬(アレルギーの飲み薬)を、症状が消えるまで毎日続けるのが治療の土台です。効きが足りないときは薬の種類や量を調整し、それでも足りない慢性の蕁麻疹には注射薬という選択肢があります。

蕁麻疹の症状は、皮膚のマスト細胞から放出されるヒスタミンが主に引き起こしています。抗ヒスタミン薬はこの働きを抑える薬で、「出たときだけ飲む」のではなく皮疹が出ない日も毎日続けることで、出てくる皮疹そのものを減らしていきます。治療は2026年に改訂された国内の診療ガイドラインに沿って、段階を踏んで進めます。

  1. 抗ヒスタミン薬を毎日飲む:眠気や集中力低下の少ない第2世代の薬を使い、1〜2週間で効き具合を見ます。足りなければ薬の種類を替える、量を調整する、2種類を組み合わせるといった調整を行い、胃薬として使われるH2拮抗薬や抗ロイコトリエン薬を補助的に加えることもあります
  2. 注射薬を追加する:抗ヒスタミン薬を調整しても抑えられない慢性特発性蕁麻疹には、ゾレア®(オマリズマブ)またはデュピクセント®(デュピルマブ)という注射薬を飲み薬に追加します。いずれも12歳以上が対象で、当院ではアレルギー専門医の内科医と連携して対応しています
  3. さらに専門的な治療:上記でも制御できない場合は、免疫抑制薬などを専門施設で検討します

また2026年には、抗ヒスタミン薬で十分に抑えられない成人の慢性特発性蕁麻疹に対する新しい飲み薬も国内で承認され、選択肢は広がりつつあります。

ステロイドの飲み薬は「急に悪化したときに短期間だけ」に限って使う薬で、長期間抑え続ける目的では勧められていません。ステロイドの塗り薬は蕁麻疹には効果が期待できません。

治療のゴールは段階的に考えます。まず「薬を飲んでいれば、皮疹が少し出ても日常生活や仕事に困らない状態」、次に「薬を飲んでいれば皮疹が出ない状態」、最終的に「薬なしで皮疹が出ない状態」です。最初から「薬をやめる」ことを目標にすると焦りが生まれやすいので、まず生活に支障がない状態を安定させることを大切にしています。

Q. 薬はいつまで飲み続けるのですか?

皮疹が出なくなってもすぐにはやめず、急性なら数日〜1週間、慢性なら1〜2か月ほど同じ薬を続けてから、少しずつ減らしていきます。

「皮疹が出なくなったから」とその日にやめて翌日また出てしまう、というのがよくある経過です。慢性特発性蕁麻疹の抗ヒスタミン薬は、次のような流れで減らしていきます(注射薬の減らし方は別に相談します)。

外来では、「薬を飲み続けること」自体を問題と感じて自己判断でやめ、悪化してから来院される人によくお会いします。抗ヒスタミン薬は症状に応じて長期間使うこともある薬で、副作用や体調を確認しながら皮疹が出ない状態を保ち、安定してから減薬を検討しますので、中断する前にご相談ください。

Q. すぐに受診したほうがよい症状はありますか?

皮疹に加えて、息苦しさ、声のかすれ、喉の締めつけ感、強い腹痛や繰り返す嘔吐、ふらつきや意識が遠のく感じが出た場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、救急受診が必要です。

食べ物や薬、蜂刺されが誘因の蕁麻疹の一部は、皮膚の症状にとどまらず、呼吸や血圧に影響する全身の反応(アナフィラキシー)に進むことがあります。原因や食後の経過時間にかかわらず、上記の症状が出たら様子を見ずに119番してください。

皮疹とかゆみだけで症状が落ち着いていれば、多くの場合は写真を撮って日中に受診していただけます。ただし、急速に広がる場合や、ほかの症状が加わる場合は夜間でも受診してください。市販薬で2〜3日たっても続く、繰り返し出る、まぶたや唇の腫れを伴う場合は、皮膚科の受診をお勧めします。

当院での診療

当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が蕁麻疹のタイプを診断し、抗ヒスタミン薬の選び方から減らし方までを一緒に進めています。食べ物や薬のアレルギーが疑われる場合や、注射薬を検討する慢性の蕁麻疹は、内科のアレルギー専門医と連携して対応します(アレルギー科のご案内)。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。

まとめ

蕁麻疹は、通常24時間以内に消える赤い皮疹を繰り返す病気で、大多数は原因のはっきりしない特発性です。検査で原因を探すより、抗ヒスタミン薬を毎日続けて「生活に困らない状態」をつくることが治療の中心で、効きが足りない慢性の蕁麻疹には注射薬もあります。薬をやめる時期には手順があるので、自己判断で中断せず皮膚科でご相談ください。

参考文献

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