インフルエンザとはどんな病気ですか?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる呼吸器感染症です。高熱や悪寒、咽頭痛などが主な症状で多くは一過性で自然に良くなりますが、時に肺炎を起こして重症化し、死に至ることもあります。
インフルエンザはどうやって診断するのですか?
これまではインフルエンザの流行期に、インフルエンザらしい症状があれば、かなりの確率でインフルエンザと考えることが出来ました。その診断をより確実なものとするのが、インフルエンザの迅速抗原検査です。インフルエンザらしい人に検査を行い、陽性であれば、インフルエンザと診断します。
しかし、新型コロナウイルスのPCR検査や抗原検査の結果が100%ではないように、インフルエンザの迅速抗原検査の結果も100%正確というわけではありません。インフルエンザらしい人の迅速検査の結果が陰性であっても、「インフルエンザではない」とは言い切れず、むしろ、「検査は陰性ですがインフルエンザの可能性が高いと思います」ということまでしか言えない場合も多くあります。最終的には、他の病気による症状の可能性はないか等に注意しつつ、医師が総合的に判断して、治療方針を決定することになります。
また、インフルエンザとコロナの症状は似ている部分も多く、経過と症状だけでは区別がつきません。新型コロナウイルス感染症についても、別のページで解説しています。
インフルエンザはどのように治療するのですか?
インフルエンザは多くの場合、自然に改善します。休養・水分補給を基本に、必要に応じて解熱鎮痛薬でつらい症状を和らげます。抗ウイルス薬は、発症から48時間以内に開始すると発熱期間を通常1~2日短縮します。重症化リスクの低い方では、期待できる利益と副作用、ご本人の希望を踏まえて使用を相談します。
一方で、肺炎を発症したりして重症化する場合もあるため、リスクがある場合には抗インフルエンザウイルス薬の投与が行われます。一番有名なのはタミフルですね。
米国感染症学会(IDSA)の2018年版ガイドラインでは、インフルエンザで入院した場合、重症の場合、症状が進行する場合、重症化のリスクが高い場合、2歳未満の小児および65歳以上の高齢者、妊婦および産後2週間以内、にはワクチン接種の有無に関わらずできるだけ早期に抗ウイルス薬を投与することになっています。
「重症化のリスクが高い場合」とは、慢性の肺疾患や心血管疾患、腎疾患、肝疾患、血液疾患、糖尿病、神経疾患など基礎疾患がある場合、免疫抑制状態(免疫抑制剤等による治療を受けている患者など)の場合、妊婦、著しい肥満(この米国基準ではBMI 40以上)、高齢者療養施設などの入居者、が当てはまります。
それでは、それ以外は抗ウイルス薬は使用しないかというとそういうことではなく、発症2日以内であれば抗ウイルス治療を検討しても良いということになっています。その他、重症化リスクの高い人と同居している場合や、重症化リスクの高い患者を日常的にケアする医療従事者なども抗ウイルス治療を検討して良いとされています。
基礎疾患がなく、症状が軽く改善傾向にある方では、発症から48時間を過ぎて抗ウイルス薬を開始する利益は限られ、通常は積極的には勧めません。ただし、重症の場合、症状が悪化している場合、重症化リスクが高い場合には、48時間を過ぎていても治療を検討します。
実際には、発症2日以内でも、健康な若者には抗ウイルス薬を私から勧めることは、個人的にはほとんどありません。どんな薬もそうですが、飲まなくても良いなら飲まないに越したことはありません。抗インフルエンザウイルス薬にも副作用があるため、最終的には、メリットとデメリットをしっかり説明し、相談して決めることになります。
インフルエンザワクチンはどうしたら良いのですか?
日本感染症学会はシーズンごとに提言を出し、インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨しています。2026-27シーズンのワクチンは、A型2種類とB型1種類を含む3価のワクチンです。
当院での接種期間・費用・渋谷区の助成、鼻スプレーの「フルミスト」の取り扱いについては、インフルエンザワクチンのご案内にまとめています。
多くの自治体で、インフルエンザにかかった場合に重症化のリスクが高い高齢者や子どもには公費による補助が行われています。公費の補助がない方にも、発症や重症化のリスクを下げるため、毎年のワクチン接種をおすすめします。接種してもインフルエンザにかかることはありますが、ワクチンは重要な予防手段です。
受診を急ぐ目安はありますか?
息苦しさ、強い胸の痛み、意識がぼんやりする、水分がとれず尿が著しく少ない場合は、速やかに医療機関を受診してください。強い呼吸困難や意識障害がある場合は救急要請(119番)が必要です。いったん良くなった後に発熱や咳が再び悪化した場合も、早めに受診してください。
そのほか、発熱などの症状があってどうしたら良いか分からない場合、不安な場合には、当院にご相談ください。
よくあるご質問
Q. インフルエンザの検査が陰性でも、インフルエンザのことはありますか?
あります。迅速抗原検査の結果は100%正確ではなく、インフルエンザらしい症状の方の検査が陰性でも「インフルエンザではない」とは言い切れません。流行の状況・症状・経過をあわせて、医師が総合的に判断します。
Q. 抗インフルエンザウイルス薬は必ず飲まないといけませんか?
いいえ。インフルエンザは多くの場合、自然に治る病気です。重症の場合や、慢性の肺・心臓・腎臓・肝臓・血液の病気、糖尿病、免疫抑制状態、妊娠中、著しい肥満、高齢の方など重症化のリスクが高い場合は、できるだけ早く抗ウイルス薬を使います。基礎疾患がなく症状が軽い方でも、発症から48時間以内なら使用を検討できます(発熱期間が通常1〜2日短くなります)。48時間を過ぎると利益は限られるため通常は積極的には勧めませんが、重症の場合や症状が悪化している場合、重症化リスクが高い場合は、48時間を過ぎていても治療を検討します。副作用もあるお薬ですので、利点と欠点をご説明したうえで相談して決めます。
Q. 新型コロナとインフルエンザは、症状で見分けられますか?
症状と経過だけでは区別がつきません。似ている部分が多いため、必要に応じて検査で確かめます。新型コロナウイルス感染症については別のページで解説しています。
Q. インフルエンザワクチンは受けたほうがよいですか?
日本感染症学会はシーズンごとに提言を出し、積極的な接種を推奨しています。重症化しやすい高齢の方や子どもに限らず、公費の補助がない方にも、発症や重症化のリスクを下げるために接種をおすすめしています。当院での接種期間・費用・渋谷区の助成・フルミストの取り扱いはインフルエンザワクチンのご案内をご覧ください。
参考
2026/27シーズンに向けたインフルエンザワクチン接種に関する考え方とトピックス 日本感染症学会 2026年9月
令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A 厚生労働省 2026年9月30日版
日本感染症学会提言「〜抗インフルエンザ薬の使用について〜」 2019年
Signs and Symptoms of Flu/People at Increased Risk for Flu Complications 米国 CDC
