「ニキビくらいで病院に行っていいのかな」と思いながら、市販薬や洗顔を変えることで何年もやり過ごしている方は少なくありません。ニキビ(尋常性痤瘡:じんじょうせいざそう)は日本人の9割以上が経験するといわれる、れっきとした皮膚の病気です。そして、炎症を繰り返すほど跡が残りやすくなるため、「跡になる前に治療を始める」ことに大きな意味があります。
このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、ニキビの原因と皮膚科での治療、やってはいけないセルフケアまでをご説明します。ご相談はWeb予約からどうぞ。
Q. ニキビとはどんな病気ですか?
ニキビは、毛穴が詰まり、そこに皮脂がたまって炎症を起こす病気です。白ニキビから赤ニキビ、膿をもったニキビへと段階的に進行します。
最初にできるのは、毛穴の出口が詰まって皮脂がたまった「コメド(面ぽう)」です。白くポツッと見えるものは白ニキビ、毛穴が開いて中身が黒く見えるものは黒ニキビと呼ばれます。ここに菌が増えて炎症が起こると、赤く腫れた赤ニキビ、膿をもった黄ニキビになり、さらに深く進むと硬いしこりや嚢腫(のうしゅ)になって、跡(瘢痕)が残りやすくなります。
思春期に多い病気ですが、大人になってからも続く方、大人になって新しくでき始める方も2〜4割ほどいると報告されており、特に女性では月経周期に伴って悪化するタイプがみられます。
Q. ニキビの原因は何ですか?
「皮脂の増加」「毛穴の詰まり」「アクネ菌の増殖」「炎症」の4つが重なり合って起こります。
思春期やホルモンバランスの変化で皮脂の分泌が増えると、毛穴の出口の角質が厚くなって詰まりやすくなります。詰まった毛穴の中は、皮脂を栄養にするアクネ菌にとって増えやすい環境で、菌が増えると炎症が起きて赤く腫れます。
睡眠不足やストレス、生活リズムの乱れ、肌に合わない化粧品などが悪化のきっかけになることもあります。チョコレートなど特定の食べ物については、はっきりした結論は出ていません。極端な食事制限よりも、バランスのよい食事と睡眠を整えることをお勧めします。
Q. ニキビは皮膚科で治療したほうがよいですか?
炎症のあるニキビを繰り返している方、市販薬で改善しない方は、皮膚科での治療をお勧めします。理由は「跡を残さない」ためです。
赤ニキビや膿をもったニキビの炎症が深くまで及ぶと、クレーター状のへこみや色素沈着が残ることがあります。跡になってからの治療は、跡になる前の治療よりもずっと大変です。
日本では9割以上の人がニキビを経験する一方、医療機関を受診する人は1割程度にとどまるとされてきました。外来でも、跡が気になり始めてから初めて受診される方が多く、「もっと早く受診していただければ」と感じるケースも少なくありません。
また、「ニキビだと思っていたら別の病気だった」ということもあります。口の周りだけに繰り返す発疹や、中年以降に顔の赤みとともに出るブツブツ(酒さ)などはニキビと紛らわしく、治療法も異なります。診断も含めて、皮膚科でご相談ください。
Q. ニキビの治療はどのように行いますか?
現在のニキビ治療の中心は、「毛穴の詰まりを防ぐ塗り薬」で新しいニキビを作らせないことです。多くは保険診療で行えます。
- アダパレン:毛穴の詰まり(コメド)ができるのを防ぐ塗り薬です。使い始めにヒリつきや乾燥が出やすいため、少量から慣らしていきます。妊娠中・妊娠の可能性のある方には使用できないため、処方の際に確認します
- 過酸化ベンゾイル(BPO):アクネ菌を減らし、毛穴の詰まりも改善する塗り薬です。耐性菌を作りにくいという利点があります
- 抗菌薬(塗り薬・飲み薬):赤く炎症したニキビに使います。炎症が落ち着いたら漫然と続けず、期間を区切って使うのが原則です
炎症が強い時期には抗菌薬を組み合わせ、落ち着いたらアダパレンや過酸化ベンゾイルによる「維持療法」に切り替えて、新しいニキビができにくい状態を保ちます。効果が見えてくるまでの期間には個人差があり、数週間〜数ヶ月かかることも多いため、焦らず続けることが大切です。
Q. 治療やセルフケアで気をつけることはありますか?
「抗菌薬だけに頼らないこと」と「ニキビを潰さないこと」です。
抗菌薬を長く使い続けると、薬の効きにくい耐性菌が増えることが国内でも問題になっています。抗菌薬はあくまで炎症期の一時的な治療と位置づけ、維持療法と組み合わせて使います。
セルフケアでは、「洗顔が足りないせいだ」と考えて1日に何度も顔を洗っている方に外来でよくお会いしますが、洗いすぎはかえって炎症を悪化させます。次の点をお勧めします。
- 1日2回程度、洗顔料をよく泡立ててやさしく洗う(ゴシゴシこすらない)
- ニキビを指や器具で潰さない(炎症が深くなり、跡の原因になります)
- 化粧品は「ノンコメドジェニック」表示のものを目安に選ぶ
- 前髪や手で患部に触れる癖を減らす
Q. ニキビ跡は治せますか?
ニキビ跡はタイプによって治療の道すじが変わります。盛り上がって硬くなるタイプは保険診療の対象になることがあり、へこみや色素沈着は自費診療での治療になります。
赤みや色素沈着は時間とともに薄くなることも多い一方、クレーター状のへこみは自然には戻りにくいとされています。これに対して、傷あとが赤く盛り上がって硬くなるタイプ(肥厚性瘢痕・ケロイド)は、保険で行う治療の対象になることがあります。どのタイプにあたるかは診察で判断しますので、まずはご相談ください。
へこみや色素沈着については、当院ではIPL(光治療)やCO₂フラクショナルレーザーなどの自費診療による治療をご用意しています。状態に応じた選択肢と費用は、診察のうえでご説明します(料金表)。
なによりも、これ以上跡を増やさないために、今あるニキビの治療を並行して行うことが大切です。
当院でのニキビ治療
当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が、ニキビの状態に合わせて保険診療を中心に治療を行っています。跡が残ってしまった方には美容皮膚科の選択肢もあわせてご提案できるのが当院の特徴です。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。
まとめ
ニキビは「皮脂・毛穴の詰まり・アクネ菌・炎症」で進む病気で、保険診療で治療できます。ゴールは今あるニキビを治すことにとどまりません。維持療法で「できにくい肌」を保ち、跡を残さないことです。繰り返すニキビにお悩みの方は、一度皮膚科でご相談ください。
