「シャンプーを変えてもフケが治らない」「鼻のまわりや眉のあたりが、いつも赤くカサカサしている」──それは乾燥や洗い方の問題ではなく、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)という皮膚の病気かもしれません。ありふれた病気ですが、体質的に繰り返しやすく、自己流のケアでは長引いてしまうことがよくあります。
このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、脂漏性皮膚炎の原因と治療、日常のケアのコツをご説明します。ご相談はWeb予約からどうぞ。
Q. 脂漏性皮膚炎とはどんな病気ですか?
皮脂の分泌が多い場所(頭皮、眉、眉間、鼻のまわりなど)に、フケのようなカサつきを伴う赤みが出る慢性の皮膚炎です。
好発部位は、顔ではいわゆるTゾーン(眉・眉間・鼻のまわり)や耳のまわり、頭皮です。胸や背中の中央、わきの下にできることもあります。かゆみは、ないことも軽いこともあります。
「フケ症」と思われているものの中には、頭皮の脂漏性皮膚炎が隠れていることが少なくありません。実際、「フケ症」と呼ばれるものの大部分は、軽い脂漏性皮膚炎か、その前段階と考えられています。冬に悪化して夏に軽くなる季節の波を繰り返しながら、長く続くのが特徴で、数年単位で付き合っている方も珍しくありません。
Q. 脂漏性皮膚炎の原因は何ですか?
皮脂と、皮膚にすみついている常在菌の一種「マラセチア」というカビ(真菌)が関わって起こると考えられています。
分泌された皮脂がマラセチアによって分解されると、刺激性のある物質(遊離脂肪酸)ができ、これが皮膚に炎症を起こすと考えられています。マラセチアは多くの人の皮膚にすんでいる常在菌で、「うつる病気」ではありません。
そのほか、睡眠不足や疲れ、ストレス、季節の変わり目、洗いすぎ・洗わなすぎといった生活・環境要因も、悪化のきっかけになることがあります。
Q. ただのフケや乾燥肌とはどう違いますか?
赤みを伴っているか、皮脂の多い場所に集中しているかがひとつの目安です。似た見た目の別の病気もあるため、長引くときは診察をお勧めします。
単純な乾燥によるフケは、保湿や洗い方の調整で改善することが多いのに対し、脂漏性皮膚炎では皮膚の赤みや、脂っぽい黄色がかったフケが付くのが特徴です。
また、顔の赤みやカサつきをきたす病気には、湿疹・皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、酒さなど、治療の異なるものがあります。市販薬でよくならない場合は、自己判断を続けずにご相談ください。
頭皮の場合は、頭部白癬(カビの感染症)との見分けも大切です。フケのほかに、脱毛や切れ毛、膿や痛みを伴うときは、フケ用シャンプーや市販の塗り薬で様子を見ずに早めに受診してください。ステロイドの塗り薬を使うとかえって悪化することがあります。
Q. 治療はどのように行いますか?
基本のスキンケアに加えて、マラセチアを抑える抗真菌薬の塗り薬と、炎症を抑えるステロイドの塗り薬を、状態に応じて使い分けます。
- 抗真菌薬の塗り薬:原因に関わるマラセチアの増殖を抑えます。再発をくり返す方の維持治療にも使いやすい薬です
- ステロイドの塗り薬:赤みやかゆみが強い時期に、期間を区切って使います。顔への強いステロイドの長期連用は別の皮膚トラブルのもとになるため、医師の指示の範囲で使うことが大切です
慢性の病気なので、「一度塗って終わり」ではなく、症状が落ち着いた後のスキンケアと再発時の対応まで含めて、付き合い方を身につけていくのが治療のゴールになります。
Q. 日常生活で気をつけることはありますか?
皮脂をためすぎない洗顔・洗髪と、生活リズムを整えることが治療の土台になります。
- 洗顔は石鹸や洗顔料を泡立てて、1日1〜2回やさしく洗う(ゴシゴシこすらない)
- 洗髪は毎日〜隔日を目安に、地肌をやさしく洗い、すすぎ残しをなくす
- 洗顔後の保湿は、油分の多すぎないものを選ぶ
- 睡眠不足・疲れ・ストレスをためすぎない
外来では、「フケが出るのは洗い方が足りないせいだ」と考えて、洗浄力の強いシャンプーで1日に何度もゴシゴシ洗い、かえって悪化させてしまっている方によくお会いします。フケは「不潔だから出る」ものではありません。市販のフケ用シャンプーの中には刺激がかえって強いものもあり、「洗いすぎ」も「洗わなすぎ」も悪化要因になります。ちょうどよい加減は肌の状態によって変わるため、診察の際に生活に合わせてご提案します。
Q. 赤ちゃんの頭の黄色いかさぶたも脂漏性皮膚炎ですか?
乳児期には「乳児脂漏性湿疹」と呼ばれる、よく似た皮膚炎がみられます。こちらは多くが一過性で、スキンケアだけで治ることもあります。
生後数週間〜数ヶ月の赤ちゃんの頭皮や眉に、黄色っぽいかさぶた・うろこ状の付着物が出るもので、大人の脂漏性皮膚炎とは経過が異なります。詳しくは湿疹のページでも触れていますが、ジュクジュクする・広がる・かゆがる場合は小児皮膚科の受診をお勧めします(小児皮膚科のご案内)。
当院での診療
当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が、フケ・顔の赤みの原因を診断したうえで、塗り薬の使い分けとスキンケアの調整をご提案しています。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。
まとめ
治らないフケや、Tゾーンの繰り返す赤みは、脂漏性皮膚炎の可能性があります。マラセチアと皮脂が関わる慢性の皮膚炎で、塗り薬とスキンケアの組み合わせでコントロールを目指せる病気です。長引く症状は自己流のケアで粘らず、一度皮膚科でご相談ください。
