電話受付は診療時間内03-3499-6223
WEB予約

タバコによる健康被害

執筆:斎藤史武 公開日:2026-06-03

「健診で問題なかったし」「症状もないから、今さらやめても変わらないでしょ」──そう感じて喫煙を続けている方は、実は多くいらっしゃいます。でもタバコの害は、自覚症状が出るずっと前から、肺や血管、全身の臓器で静かに進んでいきます。喫煙者の約3分の1から半数はタバコ関連の病気で亡くなり、吸わない人と比べて寿命が平均で約10年短くなることも分かっています。

このページでは、「タバコを吸うと体に何が起きるのか」「やめると何が良くなるのか」にしぼってお話しします。ニコチン依存のしくみはニコチン依存症のページ、加熱式タバコは加熱式タバコのページ、実際の治療は禁煙外来のページで扱っています。ご予約はWeb予約からどうぞ。

タバコの煙には何が含まれているのですか?

タバコの煙の中には、なんと約7,000種類もの化学物質が見つかっていて、そのうち少なくとも69種類が発がん物質だと分かっています。代表的なものをあげてみます。

これらが体に入ると、①血管の内側(内皮)が傷つく、②血のかたまり(血栓)ができやすくなる、③LDLコレステロールが酸化して動脈硬化が進む、④全身でじわじわ炎症が続く、⑤自律神経が乱れて不整脈が起きる、といったいくつもの経路で、ほぼ全身に負担がたまっていきます。タバコは「肺だけの問題」ではありません。

喫煙でどんな病気のリスクが上がりますか?

タバコとの関係がはっきりしている代表的な病気について、吸わない人と比べたリスクを整理してみます。下の表は、主に米国の55歳以上を対象とした研究による「死亡」のリスクです。病気になる確率そのものではなく、また日本人にそのまま当てはまる数値でもありません。

疾患カテゴリ

病名

喫煙者の相対死亡リスク(非喫煙者比)

呼吸器

慢性閉塞性肺疾患(COPD)(肺気腫・慢性気管支炎)

約25〜28倍

呼吸器

肺炎・インフルエンザ

約2倍

がん

肺がん

約23〜25倍

がん

口腔・咽頭がん

約6倍

がん

食道がん

約4〜5倍

がん

膀胱がん

約4倍

循環器

大動脈瘤

約7.5〜10倍

循環器

動脈硬化・末梢動脈疾患

約2〜5倍

循環器

虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)

約2.6〜3.0倍

循環器

脳卒中

約1.9〜2.1倍

代謝

2型糖尿病

約1.5〜1.6倍

なかでも米国の推計では、COPDによる死亡の最大約80%に喫煙が関与し、肺がんによる死亡の約9割は喫煙または受動喫煙が関与しているとされ、関係の強さがきわだっています。COPDについてはCOPDのページものぞいてみてください。全体としても、今タバコを吸っている方は、吸わない人より平均で約10年寿命が短いとされています。日本で現在習慣的に喫煙している方の割合は、最新の2024年調査で14.8%(男性24.5%・女性6.5%)です。直近12年間ではもっとも低い水準ですが、健康への影響は引き続き大きな課題です。

受動喫煙のリスクはどのくらいですか?

受動喫煙(自分は吸っていなくても、家族や同僚のタバコの煙を吸い込んでしまう状態)は、国際がん研究機関(IARC)によって「人に対して発がん性がある」と分類されています。「これくらいなら安全」という量は存在しない、と考えられています。

大人への影響

お子さんへの影響

それから、タバコを消したあとも、室内のカーテンや壁、衣類、車のシートには有害物質が残ってしまい、長い時間ずっと出続けます。これは「三次喫煙(サードハンドスモーク)」と呼ばれていて、床をハイハイする赤ちゃんでは、皮膚や口からの取り込みが増えてしまいます。「ベランダで吸う」「子どもが寝てから吸う」だけでは、残念ながら完全には防ぎきれません。

禁煙するとどんな良いことがありますか?

禁煙の効果は、やめたその直後から段階的にあらわれてきます。心筋梗塞や脳卒中のリスクは比較的すばやく、肺がんのリスクはゆっくりと、時間をかけて下がっていきます。

禁煙からの期間

体の中で起きていること

数時間〜数日

心拍数・血圧が改善/血中の一酸化炭素が低下/血小板が固まりにくくなる

1年後

冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)のリスクが、吸い続けた場合の約半分に低下

5年後

脳卒中・心血管疾患のリスクが大きく低下/肺がんのリスクも下がりはじめる

10〜15年後

冠動脈疾患のリスクが非喫煙者の水準に/肺がんリスクは吸い続けた場合の半分に

20年後以降

心血管疾患の死亡リスクは非喫煙者の水準に近づく/呼吸器の病気やがんでは、20年を超えても非喫煙者より高いリスクが残ることがあるが、禁煙期間が長いほど下がり続ける

さらに、40歳までに禁煙すれば、タバコ関連の病気で亡くなるリスクが約90%も減り60歳での禁煙でも平均余命が約4年のびることが分かっています。65歳をすぎてからの禁煙でも死亡率が下がるとされていて、「今さら遅い」という年齢はありません。

ただし注意したいのは、減煙(本数を減らすだけ)では同じ効果は得られないこと。1日1本でも心筋梗塞や脳卒中のリスクは上がると分かっていて、健康のためには「減らす」ではなく「やめる」ことが必要です。

当院の診療方針

当院では禁煙外来を保険診療として続けて実施しています。バレニクリン(飲み薬)・ニコチンパッチ(貼り薬)のどちらにも対応できます。実際の禁煙治療の進め方・費用については禁煙外来のページをご覧ください。COPDや喘息が疑われる方の検査・治療のご相談にも、呼吸器内科として対応します。

よくあるご質問

Q1. 本数を減らせば、健康被害も減るのではないですか?
残念ながら、減煙では死亡率や心血管疾患のリスクははっきりとは下がらないことが、いくつもの大規模な研究で確認されています。1日1本でも心筋梗塞や脳卒中のリスクは上がるという報告もあり、リスクは本数に単純には比例しません。減煙が禁煙への助走になるなら意味はありますが、減らしたまま続けることをゴールにしてしまうと、効果は限られてしまいます。

Q2. もう何十年も吸ってきました。今さら禁煙しても意味がありますか?
何歳で禁煙しても、健康面のメリットはあると分かっています。40歳までの禁煙でタバコ関連の死亡リスクが約90%減りますが、60歳での禁煙でも平均余命が約4年のび、65歳をすぎてからでも死亡率が下がることが確認されています。心血管疾患のリスクは、1年〜数年で大きく下がりはじめます。

Q3. 健診で問題なしと言われています。それでも禁煙すべきですか?
健診の数値に異常がないことと、血管や肺の組織が傷んでいないことは、必ずしもイコールではありません。動脈硬化や肺気腫の変化は症状や数値にあらわれる前から進んでいて、心筋梗塞や肺がん、COPDとして出てきた段階では、もう元に戻らないこともあります。健診で「問題なし」と言われた今こそ、禁煙のいちばん良いタイミングです。

Q4. 受動喫煙は本当に害があるのですか?
受動喫煙は国際がん研究機関(IARC)によって「人に対して発がん性がある」と分類されていて、「これくらいなら安全」という量は存在しないとされています。同居している家族の喫煙で、非喫煙者の肺がんリスクが約24%、心筋梗塞の死亡リスクが約27%上がるというデータもあります。お子さんでは肺炎・喘息・中耳炎・SIDSとの関係がはっきり示されていて、ベランダ喫煙や寝たあとの喫煙でも、三次喫煙の影響は残ってしまいます。

健診で指摘された方・咳や息切れが続く方へ

次のような方は、一度ご相談いただくのがおすすめです。

禁煙は意志の強さの問題ではなく、治療と支援によって成功率が上がる医療行為です。保険診療としての禁煙治療(バレニクリン・ニコチンパッチ)の詳細・費用は禁煙外来のページをご覧ください。渋谷駅 C1 徒歩7分/並木橋徒歩1分のなみきばしクリニックで、総合内科専門医・呼吸器専門医がご相談をお受けします。ご予約はWeb予約から24時間受け付けています。


参考文献

ご予約はこちらから

WEB予約は24時間受付。当日のご予約もできます。

WEB予約 電話 診療時間 アクセス