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帯状疱疹は人にうつる? 家族・職場で気をつけること

執筆:斎藤史武 監修:高杉亜里紗 公開日:2026-09-09

帯状疱疹(たいじょうほうしん)と診断されて、痛みの次に気になるのが「家族にうつらないか」「仕事を休むべきか」という点です。小さなお子さんや妊娠中のご家族がいれば、なおさら気がかりになります──帯状疱疹が「帯状疱疹として」人にうつることはありません。ただし、水ぼうそう(水痘:すいとう)のウイルスへの免疫がない人には、水ぼうそうとしてうつることがあります。

このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、帯状疱疹が誰に・いつからいつまでうつるのか、家族や職場でどう過ごせばよいかをご説明します。症状や治療の進め方は帯状疱疹のページ、ワクチンの種類や費用は帯状疱疹ワクチンのページにまとめてありますので、このページは「うつるかどうか」だけに絞ります。ご相談はWeb予約からどうぞ。

Q. 帯状疱疹は人にうつりますか?

帯状疱疹という形でうつることはありません。ただし、水痘帯状疱疹ウイルスへの免疫がない人には、水ぼうそうとしてうつることがあります。特に、水ぼうそうの既往やワクチン接種歴がない人、免疫機能が低下している人では注意が必要です。

帯状疱疹は、子どもの頃の水ぼうそうのあと神経の根もとに潜んでいたウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、自分の体の中で再び活動を始めて起こります。外から誰かにうつされて発症する病気ではないため、帯状疱疹の人と接した人が帯状疱疹になることはありません。

一方、皮膚に出ている水疱(すいほう:水ぶくれ)の中には、このウイルスが多量に含まれています。免疫のない人がそれに触れて感染すると、その人が発症するのは帯状疱疹ではなく水ぼうそうです。気をつけるべきなのは「帯状疱疹をうつすこと」ではなく「水ぼうそうをうつすこと」だと整理すると分かりやすいでしょう。

そして日本の成人の多くは、すでにこのウイルスへの免疫を持っています。医療系の学生を対象とした調査では、抗体を持つ人の割合は92〜98%でした。ただし、年齢だけでは免疫の有無を確実に判断できません。特に妊娠中の方や免疫機能が低下している方では、水ぼうそうの既往歴・接種歴を確認し、必要に応じて医療機関へご相談ください。

なお、うつるかどうかを考えるのは診断がついてからです。発疹の見分けの手がかりはかゆい発疹の見分け方のページにまとめています。

Q. どのようにうつるのですか?

主な経路は、水疱の中身に直接触れることによる接触感染です。病変部が覆われていて外から触れない状態であれば、多くの場合は周囲への広がりを防げます。

水ぼうそうは空気を介しても広がる感染力の強い病気ですが、帯状疱疹の感染力はそこまで強くありません。免疫機能が正常な方に生じた、体の片側の限られた範囲に出る帯状疱疹では、主な感染経路は水疱の中身への接触で、病変部を確実に覆うことで感染のリスクを大きく下げられます。会話や食器の共用は主要な感染経路ではありません。最も重要なのは、水疱に直接触れないこと、病変部を覆うこと、触れた後に手を洗うことです。

ただし、次の場合は特に厳重な感染対策が必要になります。

限られた範囲の帯状疱疹でも、空気を介して広がる可能性はゼロではありません。覆うことに加えて、次に挙げる相手とは、すべての発疹がかさぶたになるまで距離をとる、という二段構えで考えてください。

Q. うつる期間はいつからいつまでですか?

水ぶくれが出てから、すべての発疹が痂皮(かひ:かさぶた)になるまでです。すべての発疹がかさぶたになれば、通常は感染性がなくなったと判断します。

感染力の正体は水疱の中身に含まれるウイルスなので、水疱が乾いてかさぶたに変われば、人にうつす心配はなくなります。かさぶたからウイルスの遺伝子が検出されることはありますが、感染する力を持ったウイルスは含まれていません。

かさぶたになるまでの日数には個人差があります。治療を始めれば水疱は数日で乾き始め、皮膚がおおむね元に戻るまでは1か月ほどが目安です。気をつける期間の答えはカレンダーの日数ではなく、皮疹の状態だと考えてください。

免疫のない人が接触した場合、その人が水ぼうそうを発症するのは主に14〜16日後です(早ければ10日、遅い場合は21日ほど)。この期間に発熱と発疹が出たら、帯状疱疹の人と接触したことを伝えて受診していただくと、診断が早くつきます。

Q. 特に気をつけたほうがよい相手はいますか?

水ぼうそうにかかったことがなくワクチンも受けていないお子さん、水ぼうそうの免疫がない妊娠中の方、免疫の働きが落ちている方です。この3者とは、皮疹がかさぶたになるまで密に接することを控えてください。

特に、顔・首・腕など衣類で覆いにくい場所に出ている間は、水痘ワクチンを受けていない乳幼児と密に接することを控えるよう勧められています。抱っこや添い寝など肌が触れ合う場面は、かさぶたになるまで見送ってください。

とはいえ、同居家族に免疫のない人がいても全員が発症するわけではなく、その割合は8.1%という報告があります。生活を切り分けすぎる必要はなく、触れさせないことと覆うことで大部分は防げます。

免疫のない1歳以上のお子さんが接触してしまった場合は、接触後72時間以内の水痘ワクチン接種で発症を防いだり症状を軽くしたりできる可能性があります。接種歴がはっきりしないときも含めて、早めにかかりつけの小児科へご相談ください。妊娠中の方や免疫機能が低下している方は水痘ワクチンを接種できないことがあるため、接触が分かった時点で、産科または主治医へ速やかにご相談ください。

Q. 仕事は休んだほうがよいですか?

帯状疱疹そのものを理由に仕事を休むよう定めた決まりはありません。判断は「病変部を覆えるか」と「どんな相手に接する仕事か」で変わります。

医学的にはっきり言えるのは、次の点です。

一方、就業規則や業界ごとの取り決めは勤務先によって異なるため、実際に出勤してよいかどうかは勤務先の方針に従ってください。皮疹の状態について書面での説明が必要なときは、受診の際にお申し出ください。なお、痛みや発熱がつらい場合は、うつるかどうかとは別の理由として休養が必要です。

Q. 保育園や学校は休ませたほうがよいですか?

帯状疱疹には、水ぼうそうのような一律の出席停止期間は決められていません。病変部が覆われていれば登校・登園できるという目安が示されていますが、保育所・幼稚園では、すべての発疹がかさぶたになるまで免疫のない子どもと接触しないこととされています。

学校保健安全法施行規則では、水ぼうそうは第二種の感染症とされ、「すべての発しんが痂皮化するまで」という疾患ごとの出席停止の期間が定められています。これに対し帯状疱疹は個別の期間が定められた病気ではなく、第三種の「その他の感染症」として、学校内で大きな流行が起きた場合などに学校医の意見を踏まえて個別に措置が取られる枠に含まれます。一律の日数の基準はなく、医師が感染のおそれがないと認めるまで、という扱いです。

示されている目安はこうです。帯状疱疹は水ぼうそうほど感染力が強くないため、病変部が覆われて接触感染を防げる状態であれば、登校・登園して差し支えありません。ただし保育所・幼稚園では、すべての皮疹がかさぶたになるまで、免疫のない子どもと接触しないこととされています。

ここから先は園や学校の運用で分かれ、登園を認める園と、かさぶたになるまで控えるよう求める園があります。通う先の方針を確認したうえで、判断に必要な説明が要る場合は診察の際にご相談ください。なお、ご家族が帯状疱疹になっただけで、症状のないお子さん本人の登園・登校を止める規定はありません。

Q. 家庭で気をつけることは何ですか?

水ぶくれに直接触れさせないこと、触れた後に手を洗うこと、タオルや衣類を共用しないことの3つです。

入浴の順番やプールなど個別の場面は、皮疹の場所と覆えるかどうかで判断が変わりますので、気になる場面を診察のときに挙げてください。家中を消毒して回るような対応は要らず、覆うことと手洗いで日常の大半は問題なく過ごせます。

よくあるご相談

複数の診療経験をもとに再構成した典型的な例です。当院の皮膚科外来では、脇腹に帯状疱疹が出た方から「来週1歳の孫が泊まりに来るが、会わせてよいか」というご相談をよくお受けします。まず、お孫さんが水痘ワクチンを受けているかどうかを確認し、皮疹が体の片側に限られているか、衣類で覆える場所かを診察で確かめます。お孫さんが水痘ワクチン未接種であれば、すべての皮疹がかさぶたになるまで、宿泊や抱っこなどの接触は延期するようご案内します。接種済みで、皮疹を完全に覆える場合でも、直接触れさせず、手洗いを徹底していただきます。すべてかさぶたになれば通常どおりで差し支えないこともあわせてご説明しています。

当院での診療

当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が、帯状疱疹の診断と治療にあわせて、ご家族や職場への配慮についてもご説明しています。皮疹がどこまで広がっているか、衣類で覆える場所かは診察で確認し、ご家族の状況に合わせた過ごし方を一緒に整理します。診断と治療は皮膚科と内科が連携して行っています。皮膚の症状で受診先に迷う場合は皮膚トラブルの受診先のページもご覧ください。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。

まとめ

参考文献

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