電話受付は診療時間内03-3499-6223
WEB予約

大人になってからのエビ・カニアレルギー(甲殻類アレルギー)

執筆・監修:斎藤史武 公開日:2026-10-13

 「子どもの頃から平気で食べていたエビで、急にじんましんが出た」「カニを食べたあと、喉がイガイガして息苦しくなった」。エビやカニなどの甲殻類(こうかくるい)アレルギーは、大人になってから新しく起こる食物アレルギーの原因の上位に入ります。原因は加熱しても壊れにくいタンパク質で、エビとカニの間では症状が重なりやすい一方、イカ・タコ・貝まで一律に避ける必要があるとは限りません。問診と検査で、避ける範囲を決めていきます。

 このページでは、なみきばしクリニックの内科担当医(日本内科学会 総合内科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が、大人の甲殻類アレルギーの起こり方、危険なサイン、カニ・イカ・タコ・ダニとの関係、検査の考え方、エキスや加工品まで含めた避け方をご説明します。診察のご希望はWeb予約からどうぞ。

大人になってから、エビやカニのアレルギーになることはありますか?

 あります。甲殻類アレルギーは学童期以降に始まることが多く、大人になってから初めて症状が出ることも珍しくありません。医療機関を受診した即時型の食物アレルギーを集めた2023年の全国調査では、18歳以上で初めて症状が出た方の原因は、小麦(18.9%)に次いでエビが2番目(16.5%)でした。

 「何十年も食べてきたのに、なぜ今になって」と思われる方は多いのですが、大人の食物アレルギーでは、皮膚や気道からの接触をきっかけに、食べ物に反応するようになる場合があります。甲殻類では、家のほこりに含まれるダニへの反応や、仕事でエビ・カニに触れる・ゆでる湯気を吸い込むことが関係する場合があります。

 一方で、診断を受けずに自分の判断でエビやカニを避けている大人も少なくありません。2012年に20〜50代を対象に行われた調査では、医師の指示で甲殻類を避けている人は約0.6%、自己判断で避けている人を含めると約3.5%でした。一度症状が出たら、本当に甲殻類が原因なのか、どこまで避ければよいのかを確かめておくことをおすすめします。大人の食物アレルギー全体は大人の食物アレルギーをご覧ください。

どんな症状が出ますか?危険なサインはありますか?

 多くは、エビやカニを食べてから2時間以内に症状が出ます。唇・口の中・喉のかゆみやイガイガ感、じんましん、まぶたや顔の腫れ、腹痛・吐き気、咳や息苦しさなどです。口の中だけで治まる方もいますが、甲殻類アレルギーは全身の強い反応(アナフィラキシー)を起こしうるアレルギーです。全国調査では、エビが原因で医療機関を受診した方の約9%にショック症状がみられました。

 次の症状が今まさにある場合や、複数の症状が急速に広がっている場合は、119番で救急車を呼んでください。

 アドレナリン自己注射薬(太ももに自分で注射する緊急用の薬)を処方されている方は、説明を受けた手順に従って使ってください。救急車を待つ間は横になり、急に立ち上がったり歩いたりしないでください(息苦しいときは上体を起こした楽な姿勢にします)。重い症状を抗ヒスタミン薬だけで様子を見ることは避けてください。息苦しさ、喉の締めつけ、意識が遠のくなどの重い症状があった場合は、いったん治まっても、すぐに救急外来を受診してください。アドレナリン自己注射薬を使った場合は、良くなっても119番に連絡してください。軽い症状だけで治まった場合も、後日受診して、原因と今後の対策を確認してください。

 同じエビ料理でも、飲酒・運動・痛み止め(NSAIDs)・疲れ・かぜなどが重なると、症状が強く出ることがあります。コントロールの悪い喘息も重症化の要因になるため、喘息のある方は気管支喘息の治療を整えておくことも備えになります。じんましんそのものは蕁麻疹のページで詳しくご説明しています。

エビを食べたあとに運動して症状が出るのはなぜですか?

 通常は、エビを食べただけ、あるいは運動しただけでは何も起きないのに、エビを食べたあとに運動すると、じんましんや息苦しさ、ときに意識が遠のくような強い症状が出る病気があります。食物依存性運動誘発アナフィラキシー(しょくもついぞんせい うんどうゆうはつ アナフィラキシー:特定の食べ物を食べたあとの運動で起こる重いアレルギー反応)と呼ばれ、国内の過去の報告では、原因の分かった例の約3割を甲殻類が占め、小麦に次いで多い原因でした。このタイプでも、体調や食べた量などによっては、運動をしていなくても症状が出ることがあります。

 激しい運動に限らず、散歩や入浴の最中に起こった例もあり、飲酒・痛み止め(NSAIDs)・疲れ・睡眠不足・かぜ・月経前も引き金になります。同じエビでも症状が出たり出なかったりするため、原因に気づくまで時間がかかりがちです。食後の運動のあとに症状が出たことがある方は、食物依存性運動誘発アナフィラキシーのページで受診の目安と日常の注意点をご確認ください。

なぜ起こるのですか?カニ・イカ・タコ・ダニとの関係は?

 甲殻類アレルギーの主な原因は、エビやカニの筋肉に含まれるトロポミオシン(筋肉を動かすしくみに関わるタンパク質)です。トロポミオシンは熱を加えても冷めると元の形に戻りやすく、消化にも強いため、ゆでる・焼く・揚げるといった加熱では症状を防げません。なお、大人ではトロポミオシン以外のタンパク質に反応している方も少なくありません。

 似た形のトロポミオシンを持つ生き物どうしでは、反応が重なることがあります(交差反応:こうさはんのう、似たもの同士を体が区別できずに反応すること)。どこまで重なるかは相手によって違います。

仲間例エビアレルギーの方で、交差反応による症状が出る目安
甲殻類どうしほかのエビ類、カニ、ロブスター、ザリガニ高い(エビアレルギーの方の約65%がカニでも症状あり)
軟体類イカ、タコ約2割
貝類ホタテなど約2割
魚類アジ、サバ、マグロなど通常、交差反応はない(魚のトロポミオシンは形が大きく違う)。ただし、別に魚アレルギーを併せ持つ場合はある

 これらは報告された患者さんの集団での目安です。一人ひとりが食べられるかどうかや、イカ・タコ・貝それぞれで症状が出る確率を示すものではありません。

 このため、エビで症状が出た方は、最近カニを問題なく食べられていると確かめられていない限り、カニも避けておくのが安全です。一方、イカ・タコ・貝は、これまで問題なく食べられているものまで一律にやめる必要はありません。症状が出たことがあるもの、長く食べていないものは、診察で個別にご相談ください。

 家のほこりに含まれるダニやゴキブリにも、エビとよく似たトロポミオシンがあります。そのため、ダニのアレルギーがある方は、エビを食べて何も起きなくてもエビの血液検査が陽性に出ることがありますが、症状がなければエビをやめる必要はありません。反対に、ダニへの反応が先にあることが、のちのエビアレルギーにつながる場合があるとも考えられています。コオロギなど昆虫を使った食品でも症状が出るおそれが指摘されています。ダニのアレルギーは秋のアレルギーの多くはダニやアレルギー性鼻炎もご覧ください。

 魚に寄生するアニサキスも似たトロポミオシンを持ち、エビのアレルギーがある方はアニサキスの血液検査が陽性に出ることがあります。魚料理のあとの症状の見分け方は、魚やアニサキスによるアレルギーのページで解説しています。

調理や加工の仕事でエビ・カニを扱っています。気をつけることはありますか?

 調理師や鮮魚・水産加工の仕事でエビやカニを日常的に扱う方は、仕事を通じて甲殻類アレルギーになることがあります。ゆで汁の湯気や加工中に飛び散るしぶきを吸い込む経路と、手荒れした皮膚から入り込む経路があります。症状は食べたときに限らず、作業中の咳やゼーゼー(仕事が原因の喘息)や、触れた部分のじんましん・手の湿疹として出る場合もあります。

 仕事中に咳や息苦しさが出る、食材に触れると手荒れが悪化する、といった方は、受診の際に職業と扱っている食材をお伝えください。手荒れした皮膚からの感作が関係する場合もあるため、手湿疹の治療と、作業中に皮膚が食材に触れるのを減らす工夫も大切です(手湿疹のページもご覧ください)。

どのように診断するのですか?

 診断の中心は問診です。次の点を伺います。

  1. 何をどのくらい食べて、何分後にどんな症状が出たか(料理の写真があると役立ちます)
  2. エビとカニのどちらで出たか、イカ・タコ・貝で症状が出たことはあるか
  3. 食後の運動・入浴・飲酒、痛み止めの服用、当日の体調
  4. 同じ食べ物で、症状が出たときと出なかったときがあるか
  5. 喘息・アレルギー性鼻炎・手荒れの有無、仕事でエビやカニを扱うか

 そのうえで、院内の採血で、エビ・カニなど疑わしいものに絞って特異的 IgE 抗体(とくいてき IgE こうたい:特定の物質に反応する抗体)を調べます。甲殻類の血液検査は、陽性でも食べて症状が出ない方、陰性でも症状が出る方がいて、検査だけでは白黒がつきません。ダニや軟体類との交差反応で陽性に出ることもあります。検査値も判断の材料になりますが、甲殻類では値だけで、食べたときに症状が出るかどうかや、その重さを判断することはできません。実際の症状と合わせて評価します。

 エビの成分ごとの検査(トロポミオシンを調べる検査)は日本では保険の対象外で、大人ではトロポミオシン以外に反応している方も多いため、陰性でもアレルギーは否定できません。必要と判断したときは、行える医療機関へご紹介します。

 数十項目をまとめて調べる検査は勧めていません。ダニのアレルギーがある方ではエビやカニの項目が陽性に出やすく、食べても問題のない食品まで避けることになりかねないためです(詳しくはやみくもなアレルギー検査はしないほうが良い)。

 血液検査で判断がつかないときは、エビそのものを使う皮膚テスト(プリック・トゥ・プリック)が診断の助けになります。大人のエビアレルギーでは、血液検査より診断の精度が高いとされていますが、陽性だけで確定できる検査ではなく、症状と合わせて判断します。エビの皮膚テストは当院でも行えます。実際に食べて症状を確かめる食物経口負荷試験が必要なときは、行える医療機関へご紹介します。当院では食物経口負荷試験は行っていません。

 なお、お好み焼きやたこ焼きのあとの症状では、桜えびやタコのほか、開封後に長く置いた粉の中で増えたダニが原因のこともあります。

何をどこまで避ければよいですか?エキスやだし、加工品は?

 診断がついたら、原因の甲殻類を、加熱したものも含めて避けるのが基本です。加熱では症状を防げないため、天ぷら・フライ・炒め物・グラタン・シューマイなども対象です。

 一方、調味料やスープに含まれるエビ・カニのエキス、えびせんべいなどの加工品をどこまで避けるかは、人によって違います。ごく少量で強い症状が出た方はエキスまで避けることがありますが、エキスや加工品をどこまで避けるかは、アレルギーの症状が出るようになってからの食べた経験、製品の原材料、食べた量などを確認し、診察で一緒に範囲を決めます。以前食べられたことだけを理由に、自己判断で試すことは避けてください。

 包装された加工食品では、原材料表示が手がかりになります。確認するときは、次の点を知っておくと役立ちます。

 甲殻類を避けても、栄養が不足する心配はほとんどありません。

大人の甲殻類アレルギーは治りますか?

 甲殻類のアレルギーは、自然に治ることが少ないと考えられています。大人の甲殻類アレルギーを根本から治す治療は、今のところ確立していません。そのため治療の中心は、原因の甲殻類を必要な範囲で避けることと、誤って食べたときの対応を決めておくことの2つです。

 「何年もたったから、もう食べられるかもしれない」と自己判断で試すことはお控えください。確かめたいときは、ご相談のうえ、食物経口負荷試験を行える医療機関で確認します。

なみきばしクリニックでの診療

 当院のアレルギー科では、日本アレルギー学会 アレルギー専門医の資格を持つ内科担当医が、大人の食物アレルギーを診療しています。甲殻類アレルギーでは、症状が出たときの状況を詳しく伺い、エビ・カニなど疑わしいものに絞った特異的 IgE 抗体検査を院内の採血で行います。血液検査で判断がつかないときは、エビそのものを使う皮膚テストも当院で行えます。結果は陽性・陰性だけで終わらせず、カニ、イカ・タコ、エキスや加工品をそれぞれどこまで避けるかを、日々の食事と外食での注意点に落とし込んでご説明します。

 アナフィラキシーを起こしたことがある方や重症化の心配がある方には、アドレナリン自己注射薬を処方し、使い方と緊急時の行動を一緒に確認します。喘息やアレルギー性鼻炎の治療もあわせて行い、手荒れは当院の皮膚科でも診療しています。食物経口負荷試験、運動を組み合わせた誘発試験、保険外の成分検査が必要なときは、行える医療機関へご紹介します。

 渋谷駅・恵比寿駅・代官山駅からお越しいただけます。アレルギー科のご案内もあわせてご覧ください。診察のご予約はWeb予約からどうぞ。

よくあるご質問

Q1. エビやカニを食べて症状が出たときは、何科を受診すればよいですか? アレルギー科、またはアレルギーを診ている内科です。じんましんが主な症状なら皮膚科でも診てもらえますが、原因の食べ物の特定から誤って食べたときの備え(アドレナリン自己注射薬など)まで相談するなら、食物アレルギーを診ているアレルギー科が向いています。喉の締めつけや息苦しさが今ある場合は、受診先を探す前に119番に連絡してください。

Q2. よく加熱したエビや、えびせんべいなら食べられますか? 加熱したエビも食べられないと考えてください。原因のタンパク質が熱に強いためです。えびせんべいや、エキスを使ったスープ・調味料は、食べられる範囲が人によって違うため、これまでに食べて症状がなかったものも含めて診察で個別に判断します。

Q3. エビがだめなら、イカ・タコ・貝もやめるべきですか? 一律にやめる必要はありません。エビとイカ・タコ・貝では、必ずしも症状が重なるわけではありません。今も問題なく食べているもの、症状が出たもの、長く食べていないものを分けて、診察で確認します。カニはエビと症状が重なりやすいため別に考えます。

Q4. エビアレルギーがあると、CT などの造影剤(ヨード)は使えませんか? エビアレルギーの原因はエビのタンパク質で、ヨードではありません。エビアレルギーがあることだけを理由に、ヨードを含む造影剤が使えないということはありません。ただし、食物アレルギーや喘息などアレルギーの病気がある方は造影剤の副作用がやや起こりやすいとされるため、検査の際は担当の医師にアレルギーの内容をお伝えください。

Q5. 一度じんましんが出たのに、その後エビを食べても平気でした。アレルギーではなかったのでしょうか? そうとは限りません。食後の運動・飲酒・痛み止め・体調不良などが重なったときに症状が出るタイプでは、同じエビを食べても症状が出たり出なかったりします。同じ料理に入っていた別の食材が原因だったこともありえます。自己判断で食べて確かめることは避け、症状が出たときの状況を診察でお伝えください。

参考文献

ご予約はこちらから

WEB予約は24時間受付。当日のご予約もできます。

WEB予約 電話 診療時間 アクセス