「冬になると足の指が赤く腫れて、夜になるとかゆい」「子どもの手の指が赤紫色に腫れている」──寒くなると出てくるこの症状は、しもやけ(凍瘡:とうそう)かもしれません。しもやけは、寒さと温度差で手足の指先や耳の細い血管に血液が滞り、炎症が起きた状態で、多くは保温と寒さを避ける工夫で1〜3週間ほどで治まります。かゆみや腫れが強いときは塗り薬や飲み薬を使い、暖かくなっても治らないときや繰り返すときは、似た症状の別の病気がないかを確かめます。
このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、しもやけの症状と経過、起こる仕組みとなりやすい人、似た症状の別の病気と受診の目安、皮膚科での治療、家でできる予防とケアをご説明します。ご相談はWeb予約からどうぞ。なお、冬にすねが粉をふいてかゆくなるのは乾燥によるもので、乾燥肌のページにまとめてあります。
Q. しもやけ(凍瘡)とは、どんな症状ですか?
寒さにさらされてから数時間ほどたって、手足の指や耳たぶ、頬などが赤色から赤紫色に腫れ、かゆみや痛み、焼けるようなほてりが出ます。寒さを避ければ1〜3週間ほどで治まるのが一般的です。
しもやけが出やすいのは、体の先端で冷えやすい場所です。手足の指に最も多く、耳たぶや頬にもみられます。すねや太ももなど、日常的に冷えにさらされる場所に出ることもあります。
見た目は、むくんだような腫れを伴う赤みが基本です。押すと赤みが一時的に薄くなります。症状の出方には個人差があり、かゆみが強い方もいれば、ジンジンとした痛みや焼けるような感じが主な方もいます。肌の色が濃い方では、赤みが分かりにくくなります。
症状が強いときは、水ぶくれ(水疱:すいほう)や皮膚のただれ、えぐれた傷(潰瘍:かいよう)を伴います。赤い盛り上がりがいくつも散らばる形で出る方もいて、多形紅斑(たけいこうはん:的のような形の赤い発疹が多発する病気)に似て見えます。
寒さにさらされ続けると、治りきる前に新しいものが出て、冬のあいだ長引くことがあります。体質によっては、毎年同じ季節に繰り返します。
Q. しもやけはなぜ起こるのですか?
寒さで手足の先の細い血管が縮み、血流が滞ることが出発点です。冷えたあとに温まるとき、皮膚の表面に近い血管は広がる一方で深い血管は縮んだままになり、このずれから血液がたまって炎症が起き、腫れやかゆみが出ると考えられています。
しもやけは、皮膚が凍るほどの寒さでなくても起こります。皮膚の組織が凍ってしまう凍傷とは別のもので、冷えに繰り返しさらされることが原因になります。詳しい仕組みには、まだ分かっていない部分もあります。
温度差も関わります。冷えきった手足をストーブにかざしたり、熱いお湯につけたりして急に温めると、血流のずれが大きくなり、症状が出やすくなります。
出やすい時期にも特徴があります。厳しい真冬よりも、冬の初めや春先に出やすく、比較的暖かい地域でも起こります。気温だけで決まるわけではなく、汗で手足が湿っていることや、生まれつきの体質も関係します。
Q. しもやけになりやすいのは、どんな人ですか?
子どもから大人まで起こります。国内の教科書では学童に多いとされ、女性や手足が冷えやすい方にもみられます。やせ型の方、たばこを吸う方、家族にしもやけができやすい人がいる方も起こしやすいとされています。
しもやけを起こしやすい条件として、次のようなものが挙げられます。
- 子ども:登下校や外遊びで手足が冷えやすく、汗や雪で濡れた手袋・靴下のまま過ごしやすい年代です
- 手足が冷えやすい方:寒さで指先が白や紫に変わる「レイノー現象」がある方も含みます
- やせ型の方、栄養状態が悪い方
- たばこを吸う方:たばこに含まれるニコチンは血管を縮めます
- 家族にしもやけができやすい人がいる方
- 汗をかきやすい方:手足の湿り気は、しもやけの原因のひとつです
- 屋外で働く方、冬の屋外スポーツをする方
一方で、高齢になって初めて出た場合や、これまでと異なる出方をする場合は、背景にほかの病気がないかを確認することがあります。次の節の目安とあわせて受診をご検討ください。
Q. しもやけだと思っていたら、別の病気が隠れていることはありますか?
あります。しもやけによく似た発疹が、膠原病(こうげんびょう:免疫の異常で皮膚や関節、内臓などに炎症が起こる病気の総称)の皮膚症状として出ることがあります。暖かくなっても治らない、寒くない季節にも出る、指の色が白や紫に変わる、といった場合は、しもやけと決めつけずに皮膚科でご相談ください。
多くは体質や環境によるしもやけですが、見分けが必要な病気として次のようなものがあります。
- 凍瘡状エリテマトーデス(とうそうじょうエリテマトーデス):皮膚エリテマトーデスの一型で、しもやけに似た発疹が出ます。全身性エリテマトーデスを伴う場合もありますが、皮膚だけに症状が出る場合もあります。暖かくなっても続くなど、治りにくい場合に見分けます
- 全身性エリテマトーデス:頬に蝶が羽を広げたような形の赤い発疹(蝶形紅斑:ちょうけいこうはん)、手指などの関節の腫れや痛み、発熱やだるさが出る膠原病で、しもやけに似た皮膚症状を伴うこともあります
- レイノー現象:寒さや緊張をきっかけに、指先が白から紫、赤へと発作的に色を変えるものです。体質によるものが多い一方、全身性強皮症(皮膚や内臓が硬くなる膠原病)では最初の症状として最も多く、指先の潰瘍につながることもあります
- 凍傷:強い寒さで皮膚の組織そのものが凍るものです。皮膚が白っぽくなったあと赤紫色に変わり、感覚が鈍くなります。強い寒さのあとに感覚が戻らない、皮膚が硬い、水ぶくれがあるときは、速やかに医療機関を受診してください
- 皮膚の血管炎や血液の病気:まれに、細い血管そのものに炎症が起こる病気や血液の病気で、似た発疹が出ることがあります
次のような場合は、しもやけと決めつけずに受診してください。
- 2〜3週間たっても良くならない、暖かい季節になっても治らない
- 夏など寒くない時期にも出る、寒さと関係なく出る
- 毎年繰り返す、年々ひどくなる
- 寒さで指先が白や紫に変わる発作がある(お子さまも含みます)
- 水ぶくれ、ただれ、潰瘍ができた、膿が出る
- 関節の痛み、顔の赤い発疹、発熱やだるさ、力が入りにくいなど、皮膚以外の症状もある
- 高齢になって初めて出た、これまでと出方が違う、片方の手足だけに出る
- 糖尿病がある、足の血流が悪いと言われている
見た目だけで区別が難しいときは、問診で皮膚以外の症状を伺い、血液検査や、皮膚の一部を採って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を検討します。当院では皮膚生検を行っていないため、必要な場合は連携する医療機関へご紹介します。
Q. 皮膚科では、どんな治療をしますか?
治療の土台は、寒さと湿り気を避けて保温することです。症状に応じて、国内でしもやけに使われている塗り薬や飲み薬を検討します。赤みやかゆみを和らげる目的で、ステロイドの塗り薬を短期間使うこともあります。
薬は保温と組み合わせて使うものです。寒さにさらされ続けたままでは、薬を使っても新しいしもやけが次々に出てしまいます。
塗り薬
- ビタミンEを含む軟膏:ビタミンEとビタミンAを配合した軟膏で、しもやけに使う薬です
- ヘパリン類似物質の軟膏・クリーム:保湿剤としても使われる成分で、しもやけにも使われます。血が止まりにくい病気のある方には使えません
- ステロイドの塗り薬:赤みやかゆみが強いときに、症状を和らげる目的で短期間使うことがあります。ただし、しもやけへの効果は十分に確立していないため、改善を確かめながら使います。強さや塗る量の考え方はステロイドの塗り薬のページをご覧ください
飲み薬
- ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)の錠剤:手足の血流を助ける目的で使います
- 漢方薬:手足が冷えやすい方のしもやけには、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)などの漢方薬も選択肢になります。漢方薬にも、むくみや血圧の上昇などの副作用が出ることがあります
塗り薬・飲み薬とも、持病や妊娠の有無、ほかに使っている薬によって選べないものがあります。診察の際にお知らせください。薬の効果を確かめ、改善が乏しい場合は診断や治療を見直します。
水ぶくれやただれができたときは、潰したり掻き壊したりしないでください。傷から細菌が入ると治りが遅くなります。清潔に保ち、早めに受診してください。
Q. 家でできる予防とケアはありますか?
手足と耳を冷やさないこと、濡れたままにしないこと、冷えたあとに急に温めないことが基本です。
- 保温する:外出時は手袋、厚手の靴下、耳まで覆う帽子や耳当てを使います。雨や雪の日は水を通しにくいものを選びます
- 濡れたらすぐ替える:汗や雪、水仕事で濡れた手袋・靴下は、乾いたものに替えます。濡れた手足はよく拭いて乾かします。替えの手袋や靴下を持たせておくと、子どもの外遊びや部活動のあとにも替えやすくなります
- 急に温めない:冷えた手足はストーブやヒーターにかざしたり、熱いお湯につけたりせず、室温で少しずつ温めます。湯たんぽやカイロを同じ場所に長く当てると低温やけどの心配もあります(やけどのページ)
- 掻かない:かゆくても掻くと皮膚が傷つき、ただれのもとになります
- 体を動かす・指先をほぐす:体を動かすと体が温まり、手足の血流も助けられます。腫れや傷のないときに、冷えやすい指先をやさしくマッサージするのも予防になります
- 部屋を冷やしすぎない:室内でも手足が冷えないよう、暖房や重ね着で調整します
- たばこを控える:たばこは手足の血管を縮めます。カフェインを含む飲み物や、血管を縮める成分を含む鼻づまりの薬も、手足の血流に影響することがあります
冬は手の乾燥やあかぎれも重なりやすい時期です。手の荒れが治らないときは手湿疹のページもご覧ください。
よくあるご相談
例えば、次のようなケースがあります。
「小学生の子どもの足の指が、毎年冬になると赤紫色に腫れて、お風呂のあとや布団に入るとかゆがる」というご相談です。問診では、いつから、どの指に出るか、登下校や外遊びのあとに靴下が濡れたままになっていないか、指の色が白く変わる発作がないか、関節の痛みなど皮膚以外の症状がないかを伺います。足の指先に赤紫色の腫れがあり、ほかの症状がなければ、しもやけと考えます。お伝えするのは、濡れた靴下をすぐに替えること、冷えた足をストーブで急に温めないことの2点です。かゆみと腫れが強い場合は塗り薬を検討し、暖かくなっても治らない場合は再受診を勧めます。
当院での診療
当院の皮膚科は、日本皮膚科学会 皮膚科専門医の女性医師が担当しています。しもやけかどうかの見きわめと、塗り薬・飲み薬の選び方、家での保温の工夫を一緒に決めます。暖かくなっても治らない、繰り返すといった場合は、皮膚以外の症状も伺ったうえで必要に応じて血液検査を行い、詳しい検査が必要なときは連携する医療機関へご紹介します。
指の色が変わる発作は、診察のときには治まっていることが多い症状です。色が変わったときの手足をスマートフォンで撮っておくと、診察の参考になります。
お子さまのしもやけは小児皮膚科で診療しています(小児皮膚科のご案内)。皮膚科の診療日は火曜(午前のみ)・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。
まとめ
- しもやけは、寒さと温度差で手足の指先や耳の血流が滞って起こり、多くは保温で1〜3週間ほどで治まります
- 真冬より冬の初めや春先に出やすく、子どもから大人まで起こります。女性や手足が冷えやすい方にもみられます
- 治療の土台は保温です。症状に応じて、ビタミンEやヘパリン類似物質の塗り薬、ビタミンEの飲み薬や漢方薬を検討し、効果を確かめながら見直します
- 冷えた手足は急に温めず、濡れた手袋・靴下はすぐに替えます
- 暖かくなっても治らない、寒くない季節にも出る、指の色が白や紫に変わる、皮膚以外の症状もある場合は、皮膚科でご相談ください
参考文献
- 清水宏『あたらしい皮膚科学 第3版』第13章「凍瘡および凍傷」(中山書店, 2018)
- Chilblains(NHS, 2026)
- Raynaud’s(NHS, 2023)
- Chilblains (pernio)(DermNet, 2021)
- 非凍結性の組織障害(MSDマニュアル家庭版, 2024)
- 全身性エリテマトーデス(SLE)(難病情報センター)
- 全身性強皮症(難病情報センター)
- ヘパリン類似物質製剤 電子添文(PMDA)
- ビタミンE・A配合軟膏 電子添文(PMDA)
- トコフェロール酢酸エステル錠 電子添文(PMDA)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス顆粒 電子添文(PMDA)
- Souwer IH, et al. Assessing the effectiveness of topical betamethasone to treat chronic chilblains: a randomised clinical trial in primary care. Br J Gen Pract. 2017
- NHS: Frostbite
- DermNet: Chilblain lupus erythematosus
よくある質問
しもやけと凍傷は違うものですか?
違います。しもやけ(凍瘡)は、皮膚が凍るほどではない寒さに繰り返しさらされて、手足の指や耳の細い血管に血液が滞り、炎症が起きたものです。凍傷は、強い寒さで皮膚の組織そのものが凍ってしまう状態で、皮膚が白っぽくなったあと赤紫色に変わり、感覚が鈍くなります。冬山などで強い寒さにさらされたあと、指先の感覚が戻らない、皮膚が白っぽいまま・硬くなっている、水ぶくれがある場合は、凍傷の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。体の震えが止まらない、意識がぼんやりするなどの症状もあれば、救急車を呼んでください。
お風呂やこたつで温まると、しもやけがかゆくなるのはなぜですか?
冷えて縮んだ血管が、温まるときにそろって元に戻らないためと考えられています。皮膚の表面に近い血管は広がる一方で、深いところの血管は縮んだままになり、このずれがかゆみや痛み、色の変化を起こします。冷えた手足はストーブにかざしたり熱いお湯につけたりせず、室温で少しずつ温めてください。かゆくても掻くと皮膚が傷つきやすいため、かゆみが強いときは、塗り薬の使用をご相談ください。
しもやけは市販薬で様子を見てもよいですか?
軽いしもやけは、保温して寒さを避ければ1〜3週間ほどで治まることが多く、薬局で相談して市販の塗り薬を使う方法もあります。ただし、2〜3週間たっても良くならない、水ぶくれやただれができた、膿が出る、暖かくなっても治らない、毎年繰り返す、指の色が白や紫に変わる発作がある、といった場合は皮膚科を受診してください。糖尿病のある方は傷が治りにくいため、早めの受診をお勧めします。
しもやけは毎年繰り返しますか?予防はいつから始めればよいですか?
体質や生活環境によって、毎年同じ時期に繰り返す方がいます。しもやけは真冬よりも冬の初めや春先に出やすいため、寒くなり始める時期から手袋や厚手の靴下で保温し、汗や雪で濡れた手袋・靴下はすぐに替える習慣をつけておくと予防になります。毎年繰り返す場合や年々ひどくなる場合は、ほかの病気が隠れていないかを確かめるため、一度皮膚科でご相談ください。
