「かゆい発疹が出たけれど、皮膚科なのか内科なのか分からない」「市販薬を塗って様子を見ているうちに2週間たってしまった」──皮膚の症状は目に見えるぶん心配になりやすい一方で、どこに相談すればよいのかが分かりにくい領域です。実のところ、皮膚に出ている症状が主役なら、迷ったときはまず皮膚科で構いません。難しくなるのは、皮膚科以外を選んだほうがよい例外があるためです。
このページでは、なみきばしクリニックの皮膚科担当医(日本皮膚科学会 皮膚科専門医)が、皮膚の悩みを「かゆい」「できもの」「うつる」「子ども」の4つに整理し、相談先を決めるための手がかりをご説明します。個々の病気の解説は各ページにありますので、ここは受診先を決める案内図としてお使いください。ご相談はWeb予約からどうぞ。
Q. 皮膚の症状は、まず何科を受診すればよいですか?
皮膚に出ている症状が主役なら、まず皮膚科です。全身の症状のほうが主役のとき、あるいは原因が体の内側にあると分かっているときだけ、内科やアレルギー科が入り口になります。
皮膚科は、皮疹(ひしん:皮膚に出た変化)の形・色・分布と、出たり消えたりの経過から病名を絞り込む科です。同じ「赤くてかゆい」でも、湿疹と蕁麻疹と白癬(はくせん:水虫の原因になるカビ)では治療が違い、見た目では区別がつかないこともあります。そこを検査で確かめます。
振り分けの目安は次のとおりです。
- 皮膚科:発疹、かゆみ、できもの、爪の変化、毛の抜け方が主役のとき
- 内科・アレルギー科:皮膚症状に加えて発熱・関節痛・倦怠感などが続くとき、食物アレルギーなど全身の評価が必要なとき
- 小児皮膚科:乳幼児から小学生のお子さまの肌の症状
- 美容皮膚科(自費):シミやニキビ跡など、見た目を整えることが目的のとき
- 救急要請(119番):発疹や蕁麻疹に、息苦しさ、喉の締めつけ、声のかすれ、ふらつき、強い腹痛、繰り返す嘔吐が加わったとき
薬を飲み始めてから発疹が出た場合は、重い薬疹のことがあるため、皮膚科または処方した医療機関へ早めにご相談ください。高熱、目・口・陰部のただれ、広範囲の赤みや水ぶくれを伴う場合は緊急の受診が必要です。花粉の時期の顔やまぶたの症状は、皮膚炎なら皮膚科、目の症状なら眼科、鼻の症状なら耳鼻咽喉科・アレルギー科が候補になります。
迷ったときに皮膚科を選んで損になることはほとんどありません。皮膚科で診て内科の検査が必要と分かれば、そこからつなぐためです。当院は内科と皮膚科の両方があり、この受け渡しを院内で行えます(皮膚科・美容皮膚科のご案内)。
Q. 自分の症状はどのタイプにあたりますか?
皮膚の悩みは「かゆい」「できものがある」「人にうつるかもしれない」「子どもの肌」の4つに分けると、相談先と急ぎ具合の見当がつきます。
① かゆい・赤い
最初の手がかりは、ひとつの皮疹が「どれくらいで消えるか」です。
- 数時間で跡形もなく消え、また別の場所に出る(多くは30分〜24時間以内)→ 蕁麻疹
- 同じ場所に数日以上とどまり、カサカサやジュクジュクを繰り返す → 湿疹(皮膚炎)
- 子どもの頃から良くなったり悪くなったりを繰り返す → アトピー性皮膚炎
- 冬になるとすねや腰がかゆく、粉をふく → 乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)
- 手だけが荒れて治らない → 手湿疹
- 頭のフケが治らず、鼻の脇や眉間も赤い → 脂漏性皮膚炎
- 厚く盛り上がった赤みに銀白色のフケがつく → 乾癬
迷うときの見分け方はかゆい発疹の見分け方にまとめました。
② できもの・盛り上がりがある
- ザラザラして硬く、少しずつ数が増える → イボ
- 顔・胸・背中の、毛穴に一致したブツブツ → ニキビ
- ほくろやしみで、①左右対称でない ②境界がギザギザ ③色に濃淡が混じる ④直径6mm以上、のうち2つ以上に当てはまる → 皮膚科での確認をお勧めします。ダーモスコピーというライトのついた拡大鏡で、痛みなく観察します
③ 人にうつるかもしれない
- 足の指の間やかかとの皮むけ(かゆくないこともあります)→ 水虫(足白癬)
- 体や顔に、輪のような形で広がる赤み → 顔や体の水虫(体部白癬)
- 体の片側だけに、痛みを伴う赤みと水ぶくれが帯状に出る → 帯状疱疹。家族にうつるかは帯状疱疹は人にうつる?、予防は帯状疱疹ワクチン
- 唇の同じ場所に繰り返す小さな水ぶくれ → ヘルペス(単純疱疹)
うつる病気は、塗り薬を選ぶ前に「本当にその菌がいるか」を確かめるのが分かれ道です。白癬は顕微鏡で診断でき、湿疹と間違えてステロイドを塗ると広がります。
④ 子どもの肌
乳児湿疹、おむつかぶれ、とびひ、水いぼなど。園や学校を休むかどうかの悩みが重なるため、次の節で扱います。
4つに収まらないご相談で多いのが毛の抜け方です。丸く抜けるなら円形脱毛症、まつ毛や眉毛が薄くなるならまつ毛・眉毛が抜ける原因へ。
Q. 内科やアレルギー科に相談したほうがよいのはどんなときですか?
皮膚以外の症状が同時に出ているとき、原因が食べ物・薬・花粉にあると分かっているときです。この場合、皮膚だけを見ても答えが出ません。
たとえば次のような場合です。
- 発疹とともに、発熱・関節痛・だるさが続いている
- 食べたあとに繰り返し蕁麻疹が出る → おとなの食物アレルギー
- 新しい薬を飲み始めてから発疹が出た
- 花粉の時期に顔やまぶたがかゆくなる → 花粉症の治療が中心です
蕁麻疹は、皮膚科とアレルギー科のどちらでも扱う代表的な症状です。生涯のどこかで経験する人は最大で2割ともいわれ、原因を特定できないタイプが大多数です。6週間を超えて繰り返す場合は、やみくもな検査より、飲み薬を続けながら背景を確かめる進め方になります。
Q. 子どもの肌トラブルはどこに相談すればよいですか?
乳幼児から小学生のお子さまは、小児皮膚科を掲げている医療機関だと相談しやすくなります。皮膚科でも小児科でも診療は受けられますが、園や学校の対応まで含めて相談できる点が違います。
子どもの肌のご相談は、病気を治すことと生活をどう回すかが同時にやってきます。「保湿はいつまで続けるのか」「プールに入ってよいのか」は、診断がついてからが本番です。
とびひや水いぼで園や学校を休むかどうかは、法律上の決まりと園ごとの方針が一致しないことがあります。園の判断を確かめてから決めてください。詳しくは子どもの肌トラブルと保育園にまとめました。当院の小児皮膚科は乳幼児から小学生が対象です(小児皮膚科のご案内)。
Q. 保険で治療できる悩みと、自費になる悩みはどう違いますか?
病気の診断・治療は保険診療、美容目的の施術は自費診療となるのが基本の線引きです。ただし、実際の保険適用は診断名と治療方法、保険上の条件によって決まります。同じ部位や症状でも、選ぶ治療によって保険・自費が変わることがあります。
分かりやすいのがニキビです。いま炎症を起こしているニキビの治療は保険、治ったあとに残るへこみや色素沈着の治療は自費です。ただし赤く盛り上がって硬くなった跡は保険の対象になることがあります。
シミ、しわ、毛穴、肝斑(かんぱん:頬などに左右対称に出る茶色い色むら)、医療脱毛は自費です。当院は両方を扱っており、まず保険で治せるものがないか確かめてから自費の選択肢をご案内します(美容皮膚科のご案内)。
「シミだと思っていたものが別の病気だった」ということもあり、自費の施術を考えている場合も、最初に診察を受けると回り道が減ります。
Q. すぐに受診したほうがよい皮膚の症状はありますか?
次の5つは、様子を見ずにその日のうちに受診してください。いずれも頻度は高くありませんが、早く動くほど経過が変わります。
- 蕁麻疹に、息苦しさ・声のかすれ・喉の締めつけ感、強い腹痛や繰り返す嘔吐、ふらつきが加わった:アナフィラキシー(全身に及ぶ強いアレルギー反応)の可能性があるため119番してください
- 38℃以上の熱とともに、目の充血やめやに、くちびるや陰部のただれ、のどの痛みが出て、皮膚の広い範囲が赤くなる:重い薬の副作用による発疹の初期症状です。人口100万人あたり年間1〜6人とまれですが、薬を飲み始めて2週間以内に多い(数日以内や1か月以上あとに起こることもあります)ため、服用中の薬があればすぐにご相談ください
- 顔、とくに目のまわりに出た帯状疱疹:目や耳の合併症を防ぐため早い治療が必要です。抗ウイルス薬は皮疹が出てから72時間以内に始めるのが最も望ましいとされていますが、72時間を過ぎても治療が必要な場合があるため、受診を諦めないでください
- 赤みと腫れが急速に広がり、押すと強く痛み、熱が出てきた:皮膚の深い部分の細菌感染が疑われます
- 広い範囲に水ぶくれができる、皮膚がめくれる:明らかなやけどに限らず、重い薬疹や水疱性の病気の可能性があります。高熱、目・口・陰部のただれ、急速な悪化を伴う場合は、救急外来を含めて直ちに受診してください。やけどの場合も、深さと広さによっては緊急の処置が必要です(熱傷(やけど))
以上は代表的な目安で、緊急性のある症状をすべて網羅するものではありません。意識がもうろうとする、急速にぐったりする、発疹に比べて痛みが非常に強い、紫色の斑点が急に増えるなどの場合も、救急相談または救急受診を検討してください。それ以外の発疹の多くは、通常の診療時間内の受診で対応できます。
Q. 受診の前に準備しておくとよいことはありますか?
「いつから」「どこから始まったか」「何をしたときに悪くなるか」の3つと、使っている薬の実物です。これがそろうと、初回の診察で方針まで決まります。
とくに役に立つのが写真です。受診時には消えている症状もあり、出ているときの1枚が決め手になります。明るい場所で近くと全体の2枚をお勧めします。
市販薬や以前に処方された塗り薬は、そのまま持ってきてください。何をどれくらい使ったかが分かると、効かない理由を絞り込めます。多くの市販ステロイド外用薬では、5〜6日使って良くならなければ中止して医師・薬剤師または登録販売者へ相談するよう説明書に記載されています。実際には、お使いの製品の説明書をご確認ください。これを超えて塗り続けているなら、薬ではなく診断を見直す段階です。
ステロイドの塗り薬に不安があって量を減らしている場合も、そのままお伝えください。強さの選び方、塗る量、やめ方はステロイドの塗り薬は怖い?にまとめています。
よくあるご相談
以下は、複数の診療経験をもとに再構成した典型的な例です。
当院の皮膚科外来では、「かゆい発疹が2週間治らないが、内科と皮膚科のどちらに行けばよいか分からず市販薬を続けていた」というご相談を伺うことがあります。問診では、発疹が夕方に出て翌朝には消え、跡が残らず、発熱や息苦しさはないことを確かめました。ひとつひとつの皮疹が24時間以内に消えている経過から蕁麻疹と考えられ、湿疹に使うステロイドの塗り薬では抑えにくいこと、飲み薬を毎日続ける治療が中心になることをご説明しました。あわせて、息苦しさや喉の締めつけが加わったときは救急対応が必要とお伝えし、次に出たときの写真をお願いしました。「何科か分からない」という迷いがそのまま受診の遅れになるため、迷った時点でご相談いただくようお話ししています。
当院での診療
当院では、日本皮膚科学会 皮膚科専門医が皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科を担当し、内科は総合内科専門医・呼吸器専門医・アレルギー専門医が診療しています。皮膚の症状に全身のアレルギーが関わる場合や、飲み薬・注射薬を検討する場合は、皮膚科と内科で情報を共有します(アレルギー科のご案内)。院内では真菌の顕微鏡検査、ダーモスコピー、液体窒素による冷凍凝固治療、血液検査を行います。パッチテストや皮膚生検が必要な場合は、連携する医療機関へご紹介します。皮膚科の診療日は火曜・木曜・第1/第3土曜です(皮膚科のご案内)。ご予約はWeb予約からどうぞ。
まとめ
- 皮膚に出ている症状が主役なら、迷ったときはまず皮膚科で構いません。発熱などの全身症状が続くときや食物アレルギーの評価が必要なときは内科・アレルギー科、息苦しさや喉の締めつけを伴うときは119番です
- 悩みを「かゆい」「できもの」「うつる」「子ども」の4つに分けると、相談先と急ぎ具合の見当がつきます
- 息苦しさを伴う蕁麻疹、高熱と目や口のただれを伴う発疹、顔の帯状疱疹、急に広がる腫れは、その日のうちに受診してください
- 市販の塗り薬を説明書の目安(多くは5〜6日)を超えて使っても良くならないときは、薬ではなく診断を見直す段階です
