「健診で血圧やコレステロールを指摘されたけれど、体調は変わらないので受診を後回しにしている」──そうした方は少なくありません。生活習慣病は、食事・運動・体重・飲酒・喫煙・睡眠などの積み重ねが発症や進行に関わる病気の総称で、代表的なものは高血圧・脂質異常症・糖尿病です。初期にはほとんど症状がなく、健診の数値で見つかることが多いため、相談先は内科です。
このページでは、なみきばしクリニックの内科担当医(日本内科学会 総合内科専門医)が、生活習慣病にあたる主な病気、健診で指摘されたときの受診の目安、治療の進め方をまとめてご説明します。数値や病気ごとの詳しい解説ページへの入口も兼ねています。診察のご希望はWeb予約からどうぞ。
生活習慣病にはどんな病気がありますか?
生活習慣病は、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関わり、それらが発症の要因になる病気の総称です。健診で見つかることの多い主な病気と、診断・判定の目安は次のとおりです。
| 病気 | 健診で見る主な項目 | 診断・受診の目安 |
|---|---|---|
| 高血圧 | 血圧 | 診察室で上(収縮期)140mmHg以上または下(拡張期)90mmHg以上、家庭で上135mmHg以上または下85mmHg以上。繰り返し測った値で判断 |
| 脂質異常症 | LDLコレステロール・中性脂肪・HDLコレステロール | LDLコレステロール140mg/dL以上、中性脂肪150mg/dL以上(空腹時。随時の採血では175mg/dL以上)、HDLコレステロール40mg/dL未満、non-HDLコレステロール170mg/dL以上のいずれか |
| 糖尿病(多くを占める2型) | 血糖・HbA1c | HbA1c 6.5%以上または空腹時血糖126mg/dL以上が「糖尿病型」。糖尿病の診断は、別の日の再検査や、血糖値とHbA1cの組み合わせで確かめる |
| 高尿酸血症・痛風 | 尿酸 | 血清尿酸値が7.0mg/dLを超える |
| 脂肪肝 | AST・ALT・γ-GTP | ALTが30U/Lを超えたら、肝臓の病気の原因を調べるための受診の目安。脂肪肝かどうかは、画像検査なども使って確かめる |
| 肥満症 | 体重(BMI)・腹囲 | BMI 25以上で肥満。そのうえで、肥満による健康障害があるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪の蓄積がある場合に肥満症と診断し、減量による治療の対象になる |
| メタボリックシンドローム | 腹囲・血圧・血糖・脂質 | 腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上で、さらに血圧(上130mmHg以上または下85mmHg以上)、空腹時血糖(110mg/dL以上)、脂質(中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満)のうち2項目以上。高血圧や糖尿病の診断より低い、メタボ専用の基準を使う |
健診で指摘された数値ごとの詳しい解説もご用意しています。
- 血圧: 家庭血圧の正しい測り方と記録のコツ・睡眠時無呼吸と高血圧の関係
- コレステロール・中性脂肪: LDLコレステロールが高いと言われたら・中性脂肪が高いとどうなる?
- 血糖: HbA1cの基準値と数値の読み方・血糖値スパイクとは
- 尿酸: 尿酸値が高いまま放置するとどうなる?
- 肝機能: γ-GTP・AST・ALTの読み方
- 複数の項目や判定区分: 健康診断で「要精密検査」と言われたら
ほかにも、腎機能(eGFR)の低下や尿たんぱくで見つかる慢性腎臓病、喫煙が主な原因のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、がんの一部も、生活習慣が発症に関わる病気です。骨がもろくなる骨粗鬆症は、加齢や閉経、家族歴が大きく関わりますが、運動不足、カルシウムやビタミンDの不足、喫煙、過度の飲酒も危険因子で、生活習慣も関わる病気です。いびきの強い方に多い睡眠時無呼吸症候群は、高血圧と重なりやすいことが分かっています。
どの病気も、生活習慣だけで起こるわけではありません。体質(遺伝)や年齢、ほかの病気や服用中のお薬も関わります。それでも生活習慣を見直すことで、病気を良くしたり将来のリスクを下げたりできるため、まとめて「生活習慣病」と呼ばれています。
生活習慣病に症状はありますか?
多くの場合、初期には自覚症状がありません。血圧が高くても、コレステロールや血糖値が高めでも、日常生活では気づきにくい一方で、血管や心臓、腎臓、脳には少しずつ負担がたまります。その結果、何年もたってから脳卒中や心筋梗塞、慢性腎臓病として見つかることがあります。
高尿酸血症では、足の親指の付け根などが急に腫れて痛む痛風発作で、はじめて気づく方もいます。とはいえ、症状の有無は重症度と一致しません。症状が出る前に数値で見つけて手を打てることが、生活習慣病の診療でいちばん大切な点です。
なお、顔や手足の片側が急に動かしにくい・しびれる、ろれつが回らない、胸の中央が締め付けられるような痛みが続く、急に息が苦しくなった、意識がもうろうとしているといったときは、健診の数値にかかわらず、ためらわずに119番へ連絡してください。
健診で指摘されたら、受診したほうがよいですか?
結果票で「要受診」「要精密検査」とされた項目があれば、症状がなくても一度受診してください。特定健診など国が判定値を示している健診では、主な検査項目に、生活の見直しから始める保健指導判定値と、医療機関での管理が必要な場合がある受診勧奨判定値の2段階があります。受診勧奨判定値は、血圧が上140mmHg以上または下90mmHg以上、空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上、LDLコレステロール140mg/dL以上、中性脂肪300mg/dL以上(空腹時・随時を問わない)です。
特に、上の血圧が160mmHg以上または下の血圧が100mmHg以上、HbA1cが6.5%以上、空腹時血糖が126mg/dL以上、LDLコレステロールが180mg/dL以上、中性脂肪が500mg/dL以上の場合は、先延ばしせず早めに受診してください。
一方で、健診の基準値と病気の診断基準は同じではありません。健診では将来の病気を早めに拾い上げるために、治療を始める基準より厳しめに「要注意」と判定されることがあります。異常と書かれていてもすぐに病気と決まるわけではなく、再測定や追加の検査で確かめる意味があります。判定区分(A〜E)の意味と項目ごとの受診先は、健康診断で「要精密検査」と言われたらにまとめています。
生活習慣病は何科を受診すればよいですか?
内科を受診してください。高血圧・脂質異常症・糖尿病は別々の病気に見えて、内臓脂肪の増加やインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)など、共通の背景を持つことが多い病気です。ひとつ異常がある方では、複数が重なって見つかることも少なくありません。
血圧だけ、血糖だけを切り離して見るより、年齢・体格・家族歴・喫煙歴まで含めて全体のリスクをまとめて評価するほうが、治療の目標や優先順位を決めやすくなります。たとえば血圧が軽度の高さでも、糖尿病や喫煙が重なると心臓や血管のリスクは上がります。複数の診療科を受診する前に、まず内科で全体像を整理するのが近道です。
糖尿病の合併症や、心臓・腎臓・脳の血管について、より専門的な検査や治療が必要と判断した場合は、専門の医療機関と連携してご紹介します。なみきばしクリニックの内科については内科のご案内をご覧ください。
治療はどのように進めますか?
すぐに全員が薬を始めるわけではありません。まず、診察室での血圧の再評価や家庭血圧の記録、血液検査・尿検査などで現在の状態を確かめ、合併症やほかの危険因子の有無を確認します。そのうえで、生活習慣の改善を中心に進めるのか、薬を併用するのかを、数値と全身のリスクから一緒に決めます。
生活習慣の改善は、どの病気にも共通する治療の土台です。肥満症の方では、まず今の体重の3%以上を減らすことが最初の目標で、血糖や中性脂肪、血圧などの数値が改善しやすくなります。目標は年齢や体格、合併症に合わせて決めます。食事・運動・節酒・禁煙のどこから手をつけるかは、メタボリックシンドロームの基準と、改善に取り組む順番で順を追ってご説明しています。
数値が高い場合や、心臓・腎臓の病気、糖尿病などを併せ持つ場合は、生活の改善と並行して薬による治療を考えます。薬を始めたあとも、効果や副作用を確かめながら、種類や量を調整していきます。
なみきばしクリニックでは、どのように診療していますか?
内科担当医(日本内科学会 総合内科専門医)が、高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症・脂肪肝・肥満などをまとめて診療しています。健康診断の結果票をお持ちいただければ、どの項目が初めての指摘で、どの項目が以前から続いているのかを一緒に整理します。
- 採血・尿検査・心電図・胸部X線検査は院内で行います。血液検査の結果は、項目によっては後日のご説明になります
- 食事や運動、仕事の忙しさなど生活の状況を伺い、生活の改善から始めるか、薬を併用するかを一緒に決めます
- 他院で処方されているお薬は、お薬手帳と過去の検査結果を確認したうえで、当院で続けられる場合があります
- 骨密度検査(DXA法)も院内で行い、骨粗鬆症の診断と治療に対応しています
- 渋谷区の特定健診(40〜74歳)の実施医療機関です。血管の硬さと詰まり具合をみる動脈硬化検査(ABI/PWV)は、個人健診のオプションでお受けいただけます
- 腹部超音波検査などの専門的な検査や、より詳しい評価が必要な場合は、連携する医療機関へご紹介します
いびきや日中の眠気が気になる方は睡眠時無呼吸症候群の検査について、喫煙している方は禁煙外来について、同じ医師にご相談いただけます。
ご予約はWeb予約の「内科・その他」からどうぞ。予約優先ですが、ご予約なしでも受診いただけます。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 症状が何もないのに、治療が必要なのですか?
治療が大切なのは、症状が出る前から臓器への負担が進むためです。高血圧では頭痛やめまいがなくても血管の壁が傷みやすくなり、糖尿病ではのどの渇きや尿の量の増加がなくても、高血糖が続くことで細い血管や神経、腎臓、網膜に影響が及ぶことがあります。症状のない今の段階のほうが、生活の見直しや必要な治療で将来のリスクを下げやすい時期です。
Q. 薬を飲み始めたら、一生やめられないのですか?
「一度始めたら必ず一生続く」とは言い切れません。体重の減少や減塩、運動習慣、飲酒量の見直しなどで数値が安定し、医師の判断のもとで薬の減量や中止を考えられる方もいます。一方で、体質や年齢、合併症、数値の高さによっては、生活の改善だけでは十分でないこともあります。自己判断で中断すると数値が再び悪くなることがあるため、やめたいときも診察でご相談ください。
Q. 薬を使わずに、生活習慣の改善だけで治せますか?
軽症の段階や、合併症のリスクが高くない段階では、生活習慣の改善が最初の治療になることは少なくありません。高血圧なら減塩・減量・運動・節酒、脂質異常症なら食事の見直しと体重管理、糖尿病や血糖高値なら食事・運動・減量が中心です。ただし改善の幅には個人差があり、もともとの数値が高い場合や心臓・血管のリスクが高い場合は、生活の改善と並行して薬を使うほうが安全なこともあります。
Q. 高血圧・糖尿病・脂質異常症を、まとめて診てもらえますか?
はい、まとめて評価し、必要に応じて同時に治療します。これらの異常は、体重の増加や内臓脂肪、運動不足、食習慣、睡眠不足などを背景に重なって見つかることが多く、脂質異常症があれば血圧や血糖の治療目標の考え方も変わります。複数の数値を一枚の地図として整理し、生活習慣の見直しからお薬の調整まで一貫してご相談いただけます。
Q. 健康診断の結果だけを持って受診してもよいですか?
はい、結果票があると診察に役立ちます。血圧・脂質・血糖・HbA1c・肝機能・腎機能・尿検査・体重の変化を一覧で確認でき、今回初めての異常なのか以前から続いているのかが分かります。過去数年分があれば、変化の速さも判断できます。紹介状がなくても受診できます。服用中のお薬がある方は、お薬手帳もあわせてお持ちください。
Q. 受診の流れを教えてください。
Web予約のあと、Web問診で今回指摘された数値や既往歴、服用中のお薬、生活習慣を伺います。当日は、必要に応じて診察室での血圧測定、身体診察、血液検査や尿検査を行い、健診結果だけでは判断しにくい点を補います。結果がそろった段階で現在の状態を整理し、生活の改善を中心に進めるか、家庭血圧の記録を見ながら経過をみるか、お薬を併用するかを一緒に決めます。その後は数値の変化や副作用を確認しながら、通院を続けていただきます。
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「生活習慣病とは」
- 厚生労働省『標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)』
- 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』
- 日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』
- 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』
- 日本痛風・尿酸核酸学会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版(2022年追補版)』
- 日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』
- 日本肝臓学会「奈良宣言2023」
